ヤンセンファーマは5月29日、同月24日に発売したクローン病治療薬「ステラーラ点滴静注130mg」(一般名:ウステキヌマブ)についてメディア向けセミナーを開催した。
「ステラーラ点滴静注」は、中等症から重症の活動期クローン病の導入療法の治療薬。同じ成分の尋常性乾癬・関節症性乾癬治療薬「ステラーラ皮下注45mgシリンジ」は既に今年3月、中等症から重症の活動期クローン病の維持療法の追加適応の承認を取得している。
ステラーラは、インターロイキン-12/23を選択的に抑制するモノクローナル抗体製剤で、クローン病患者にとってインフリキシマブ(商品名:レミケード)、アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)に続く第3の生物学的製剤となる。
セミナーで講演した東邦大医療センター佐倉病院消化器内科教授の鈴木康夫氏(写真左)は、新たな治療選択肢を患者に提案できることの意義を強調しつつ、ステラーラが実際に使われる場面として「インフリキシマブ、アダリムマブで寛解導入療法がうまくいかない」場合などを挙げた。
セミナーでは患者の立場からシナリオライターの名良之繭子氏(写真右)も登壇し、炎症性腸疾患の一種であるクローン病は10〜20代での発症が多く周囲に相談しづらいため、診断にたどり着くまでに時間がかかる実情を訴えた。
●「ステラーラ点滴静注」の用法・用量
導入療法の初回に、以下に示す用量を単回点滴静注
①患者体重55kg以下:260mg、②55kg超85kg以下:390mg、③85kg超:520mg
武田薬品工業は5月24日、多発性骨髄腫治療薬「ニンラーロカプセル」(一般名:イキサゾミブクエン酸エステル)の国内での販売を同日付で開始したと発表した。
ニンラーロは新規の経口プロテアソーム阻害剤。レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対し使用する。再発・難治性の多発性骨髄腫患者を対象に実施した国際共同臨床第Ⅲ相試験では、プラセボを併用した場合と比較して無増悪生存期間が35%改善したとされている。
武田薬品日本オンコロジー事業部長の三好集氏は「多発性骨髄腫患者は治療の継続、副作用の軽減、通院の負担軽減など多くのアンメットメディカルニーズがある。ニンラーロの発売により、すべてが経口投与の3剤併用レジメンが可能となると同時に、週1回の投与、管理可能な忍容性によって患者のアンメットメディカルニーズに貢献できる」とコメントしている。
なお武田薬品はニンラーロカプセルについて多発性骨髄腫のほかに、全身性ALアミロイドーシスを対象とした開発も進めている。
●「ニンラーロカプセル」の用法・用量
レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で、1日1回4mgを空腹時に週1回、3週間経口投与した後、13日間休薬。これを1サイクルとし、投与を繰り返す(患者の状態により適宜減量)