武田薬品工業の長谷川閑史社長が3日会見し、降圧剤カンデサルタン(商品名=ブロプレス)の広告活動について、誤解を招く表現を用いたとして謝罪した。
この問題は、日本の臨床試験「CASE–J」に関するもの。同試験はARBカンデサルタンとCa拮抗薬アムロジピンの心血管系イベント抑制を比較。両群に有意差はなかったが、米医学誌「Hypertension」(2008年)に掲載された論文と宣伝用パンフレットで累積発現率のグラフが異なっており、パンフレットでは、カンデサルタン群が追跡期間42カ月以降、イベントを抑制して見えるグラフが使用され、カンデサルタンの有効性を強調する説明が加えられていた。京大の由井芳樹医師がHypertension誌(電子版、2月25日)で指摘していた。
武田薬品工業は、学会発表時(06年)の結果を論文発表後も継続して広告に使用したことと、研究成果について誤解を招く表現を用いたことを認めて謝罪。今後、第三者機関を設けて、事実関係を詳細に調査する方針を明らかにした。
なお、この問題に関しては現在、厚労省も調査中で、田村憲久厚労相は4日の閣議後会見で「薬事法違反があれば、適切に対応したい」と述べた。