厚生労働省の「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」(座長=赤池昭紀名大教授)は20日、最終報告書を概ね取りまとめた。薬局開設者個人に対する罰則について検討する必要性を指摘している。
同検討会は今年1月、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通し、薬局から患者に調剤された事案の発覚を受けて設置され、6月には直ちに講じるべき対策について中間取りまとめ(用語解説)を行った。これを踏まえて関係省令が改正され、2018年1月31日に施行される。
最終報告書は、薬局開設者の責任に言及。現行の医薬品医療機器法に基づく薬局開設者の法令違反への処罰は法人に対するもので、個人に対するものではない。開設者が薬剤師の場合には薬剤師法に基づく処分があるものの、開設者が薬剤師でない場合には適応されないため、「薬局開設者への罰則のあり方を含め、制度全体の課題として、さらに検討を進めるべき」と求めた。
このほか、卸売販売業者に対し医療機関などから大量の医薬品の返品が出る問題を記載した上で、「品質確保の観点も含めた返品におけるルール策定等について、さらに検討が進められるべき」と要請した。
報告書を受けて厚労省は薬局開設者への罰則のあり方について、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で今後検討する考えを表明。医薬品の返品ルールについては、厚労省の「医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会」でガイドラインを検討する考えを示した。