厚生労働省は7月9日付で、鎮咳薬のコデイン類含有製剤の小児への投与を全面的に制限するなど、医薬品添付文書の改訂を製造販売業者に指示した(下掲)。
コデイン類含有製剤の小児への使用は国内では限定的であったものの、投与後のモルヒネ等中毒によるものと疑われる呼吸抑制の発現が一定の頻度で発生している実態が示唆されたことから、厚労省は2017年6月、予防的な対応として「12歳未満の小児」等への投与を制限する方針を決定。医療現場への周知や製薬企業の準備のため一定の経過措置を設けた上で、全面的に禁じることとした。トラマドール含有製剤も同様の対応を取ることとされた。経過措置期間中は、添付文書の「重要な基本的注意」で小児には原則使用しないよう呼び掛けていた。
今回、経過措置期間が終了し、医療用医薬品の添付文書では小児への投与が「禁忌」へ移行。扁桃摘除術後またはアデノイド切除術後の鎮痛目的での18歳未満への使用も「禁忌」とした。一般用医薬品の患者向けガイドでは、12歳未満への使用に関する注意喚起を「医師の診察を優先する」から「使用しない」へ変更する。
痛風治療薬のフェブキソスタット(販売名:フェブリクほか)とトピロキソスタット(同:ウリアデック、トピロリックほか)では、海外の臨床試験において、アロプリノール群に比べフェブキソスタット群で心血管死の発現割合が高かったとの報告があったことを追記する。
「使用上の注意」改訂の内容(2019年7月9日指示分)
エポプロステノールナトリウム |
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販売名 |
静注用フローラン(グラクソ・スミスクライン)他 |
改訂の概要 |
重大な副作用の項に「血小板減少」を追記 |
抗PD-1抗体(①ニボルマブ〈遺伝子組換え〉、②ペムブロリズマブ〈遺伝子組換え〉) |
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販売名 |
①オプジーボ点滴静注(小野薬品工業)、②キイトルーダ点滴静注(MSD) |
改訂の概要 |
重大な副作用の項について、「大腸炎、重度の下痢」を「大腸炎、小腸炎、重度の下痢」に変更。腸炎から穿孔、イレウスに至る例が報告されている旨を追記 |
パルボシクリブ |
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販売名 |
イブランスカプセル(ファイザー) |
改訂の概要 |
警告および慎重投与の項に、間質性肺疾患に関する記載を追記 重要な基本的注意および重大な副作用の項の、間質性肺疾患に関する記載を変更 |
①標準化スギ花粉エキス、②③アレルゲンエキス(コナヒョウヒダニ抽出エキス・ヤケヒョウヒダニ抽出エキス)、④スギ花粉エキス |
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販売名 |
①シダトレンスギ花粉舌下液ほか(鳥居薬品)、②アシテアダニ舌下錠ほか(塩野義製薬)、③ミティキュアダニ舌下錠ほか(鳥居薬品)、④シダキュアスギ花粉舌下錠ほか(鳥居薬品) |
改訂の概要 |
重要な基本的注意の項の本剤服用前後2時間程度は激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避ける旨の注意喚起に、服用後の経過時間にかかわらず、激しい運動等を行う場合のアナフィラキシー等の副作用に対する注意喚起等を追記 |
コデイン類含有製剤、トラマドール塩酸塩含有製剤 |
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販売名 |
該当商品多数につき省略 |
改訂の概要 |
「12歳未満の小児」を禁忌へ移行 「扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者」を禁忌へ移行 |
①フェブキソスタット、②トピロキソスタット |
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販売名 |
①フェブリク錠(帝人ファーマ)他、②ウリアデック錠(三和化学研究所)、トピロリック錠(富士薬品)他 |
改訂の概要 |
重要な基本的注意とその他の注意の項に、海外臨床試験において、アロプリノール群に比較してフェブキソスタット群で心血管死の発現割合が高かったとの報告がある旨を追記 |
(医薬品医療機器総合機構発表資料、厚生労働省通知「薬生安発0709第9号」「同第10号」を基に作成)