株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

薬価制度の抜本的見直しに向けた検討へ - 「効能・効果の一部除外」「期中の薬価見直し」焦点 [中医協]

No.4800 (2016年04月23日発行) P.9

登録日: 2016-04-23

最終更新日: 2016-11-30

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【概要】今後も高額医薬品の上市が相次ぐと予想される中、薬価制度の抜本的な見直しを求める声が高まっている。こうした状況を受け、中医協の場で検討が進むことになるが、改革の柱は「効能・効果の一部除外」「期中の薬価見直し」となりそうだ。

相次ぐ高額な医薬品の登場に伴い、財務省の財政制度等審議会や日本医師会などが問題視している現行の薬価制度を巡り、今後中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)で抜本的な見直しに向けた検討が進められる。見直しのポイントは、「医薬品の効能・効果を評価する『薬事承認』『薬価収載』の関係性」と「薬価算定ルール」の2つだ。
現在、医薬品が薬価収載されるまでの大枠の流れ(図)は、(1)製造販売業者がPMDA(医薬品医療機器総合機構)に申請、(2)品質、有効性、安全性の承認後、厚生労働省薬事・食品衛生審議会(薬食審)医薬品第一または第二部会で審議、(3)薬事承認後、中医協薬価算定組織が薬価算定案を策定、(4)中医協総会で審議、(5)承認後、薬価収載─となる。
この中で見直しの必要性が指摘されているのは、薬事承認から薬価収載までの期間を通知で「原則として60日以内、遅くとも90日以内とする」と定めており、薬事承認された医薬品の効能・効果は原則そのまま薬価収載されている点。13日の中医協では承認されたものの「エボロクマブ」(商品名:レパーサ皮下注)の効能・効果が問題視された。同剤は家族性高コレステロール血症と高コレステロール血症を効能・効果とするが、140mg1筒で2万2948円と高薬価。これを受け、中川俊男委員(日医)は薬事承認段階における医療経済的な視点を含めた審議を求めた上で、「適応は家族性高コレステロール血症に限定すべき」と指摘した。
これを受け厚生労働省の宮嵜雅則医療課長は、「今後も想定しうるケース」として、ルールの運用について省内で検討する考えを示した。

■ニボルマブは5万人以上に市場拡大
一方の薬価算定ルールを巡っては、大幅な市場拡大が見込まれる効能・効果の追加があった場合にその都度薬価引下げを行う仕組みの導入に向けた検討が進みそうだ。きっかけは財政審が保険財政への影響を懸念した「ニボルマブ」(商品名:オプジーボ点滴静注)の適応拡大。同剤の薬価は20mg15万200円、100mg72万9849円。収載時の「根治切除不能な悪性黒色腫」の推定対象患者数は470人だったが、新たに認められた「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の対象は5万人以上とされ、医療保険財政へのインパクトは極めて大きい。
今後、薬価制度の見直しは2018年度に控える診療報酬・介護報酬の同時改定の大きな課題として、中医協の場で議論が進められることになる。

関連物件情報

もっと見る

page top