アジア12カ国の保健担当大臣らは16日、都内で薬剤耐性問題を巡って議論し、抗菌薬や抗ウイルス薬(抗微生物剤)の有効性を世界の公共財として温存するため、密接に連携していくことを確認する共同声明を採択した。
会議の参加国は日本のほか、中国、インド、オーストラリア、タイなど。
共同声明では、人・動物・農業の各分野で抗微生物剤の適正使用を推進するプログラムを、各国が策定することを確認。臨床現場における最適な抗微生物剤の使用を支えるため、質の高いサーベイランス体制と検査室ネットワークを構築するとともに、薬剤耐性菌・ウイルスに有効な医薬品、診断法、ワクチンの研究開発能力を高めるため、国境を越えた連携を深めるとしている。
塩崎恭久厚生労働相は会合終了後の会見で、「薬剤耐性が健康安全保障への脅威であるとの認識を共有できた。経済・医療の状況は各国で異なるが、(人と動物の健康を一体的に捉える)ワンヘルスアプローチの推進、医療インフラの整備など、共通の課題も多い」と総括。世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局のシン・ヨンス事務局長は「共同声明によって各国の耐性菌対策が加速する」と、その意義を強調した。
薬剤耐性問題は、5月の伊勢志摩サミットなどの国際会議でも繰り返し議論される見通し。