日々葛藤しながら薬を使っている。今のところ、処方の判断は全て臨床現場に委ねられている。国民皆保険の下での臨床医は保険医。保険医としてこの薬を患者に投与することが適切なのか、自分に問い掛け、その疑問を患者とも共有しながら治療を進めているが、臨床医が皆そうだろうかと心配している。
国はオプジーボの使用要件をかなり緩く設定し、臨床現場で使いやすくしてくれたと感じる。国が現場に権限を委ねてくれた以上、臨床医は保険財政も考慮に入れつつ、適切な患者選択をすべきだ。現段階での「ブレーキ」はそれしかない。
そうしたガイドライン(GL)がなくても、習熟した専門医なら当然、保険財政のことを考えると思う。しかし現段階では、オプジーボの処方は専門医資格を取得すれば誰でもできる。若い先生たちに社会問題を踏まえた処方の判断を求めるのは難しい。日本のがん医療のレベルを保ちつつ薬の適正使用を進めていくためには、経済的視点を取り入れたGLはあっていい。臨床医の意思決定は経験に基づくもの。GLは若い先生にとっての礎になると思う。
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