株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)インタビュー① 葛藤しながら薬を使っている─問題の打開には「終わり方」の議論も欠かせない [特集:「高額薬剤」問題を考える]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.24

澤 祥幸 (国際肺癌連盟日本代表 世界肺癌学会アドボカシー委員会委員 日本肺癌学会肺がん医療向上委員会副委員長/岐阜市民病院診療局がんセンター長 NPO西日本がん研究機構教育広報委員長)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • ─オプジーボをどのような思いで使っているか。

    日々葛藤しながら薬を使っている。今のところ、処方の判断は全て臨床現場に委ねられている。国民皆保険の下での臨床医は保険医。保険医としてこの薬を患者に投与することが適切なのか、自分に問い掛け、その疑問を患者とも共有しながら治療を進めているが、臨床医が皆そうだろうかと心配している。

    国はオプジーボの使用要件をかなり緩く設定し、臨床現場で使いやすくしてくれたと感じる。国が現場に権限を委ねてくれた以上、臨床医は保険財政も考慮に入れつつ、適切な患者選択をすべきだ。現段階での「ブレーキ」はそれしかない。

    ─肺癌学会がガイドラインに医療経済の視点を盛り込むことも視野に検討を始めた。

    そうしたガイドライン(GL)がなくても、習熟した専門医なら当然、保険財政のことを考えると思う。しかし現段階では、オプジーボの処方は専門医資格を取得すれば誰でもできる。若い先生たちに社会問題を踏まえた処方の判断を求めるのは難しい。日本のがん医療のレベルを保ちつつ薬の適正使用を進めていくためには、経済的視点を取り入れたGLはあっていい。臨床医の意思決定は経験に基づくもの。GLは若い先生にとっての礎になると思う。

    残り888文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連物件情報

    もっと見る

    page top