ノバルティスファーマの綱場一成社長(写真)は7月24日、初の記者会見に臨み、高血圧治療薬「ディオバン」を巡る臨床研究不正事件への反省を踏まえ、企業風土改革を継続しつつ、次の10年に耐えうるビジネスモデルを年内につくる考えを示した。「今後10年間は新生ノバルティスとして飛躍する非常に重要な時」とし、2027年までに「社会から最も信頼される卓越した企業」に成長させたいと強調した。
綱場氏はイーライリリーで香港法人社長、日本法人糖尿病領域事業本部長などを歴任した後、今年1月、ノバルティスファーマ(日本法人)に入社。4月に同社社長に就任した。
ノバルティスファーマの2016年実績(売上高)は2502億円で前年比3.7%減だが、綱場氏は「ここに来て過去にいろいろあった事案(=ディオバン事件など)について(臨床医からも)少しずつ信頼を回復してきている」と述べ、業績は「ほぼ回復基調にある」との認識を示した。
ディオバン事件を巡る今年3月の地裁判決については「無罪判決をいただいたが、データの改竄等を含め事実認定はされている。この問題は我々が臨床研究に適切に関わってこなかったことに原因があると反省している」とコメント。5月に製薬協に復帰したことにも触れ、「(会員会社の名に)恥じないよう活動していきたい」と述べた。
●ノバルティスファーマ2016年売上上位5製品(カッコ内は売上高)
①糖尿病治療薬「エクア」(336億円) ②白血病治療薬「グリベック」(275億円) ③同「タシグナ」(207億円) ④加齢黄斑変性治療薬「ルセンティス」(206億円) ⑤高血圧症治療薬「ディオバン」(171億円)
日本イーライリリーは7月14日、同月3日付で製造販売承認を取得した関節リウマチ治療薬「オルミエント錠」(一般名:バリシチニブ)についてメディア向けセミナーを開催した。
オルミエントは「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応とした選択的JAK1/JAK2阻害剤。現在の標準療法であるメトトレキサート(MTX)などによる適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与する。MTXに対して効果不十分で中等度〜重度の活動性を有する関節リウマチ患者を対象とした第Ⅲ相試験で有効性・安全性が確認された。
14日のセミナーで講演した産業医大第1内科教授の田中良哉氏は、MTX使用下でオルミエントと生物学的製剤アダリムマブ(TNF阻害剤)を比較したRA-BEAM試験について解説。オルミエントは疾患活動性の指標の1つであるDAS28-CRPの12週時変化量でアダリムマブを上回ることが示され、また、痛み・朝のこわばり・倦怠感などの主観的症状を評価する患者報告アウトカムでも1週目から改善傾向がみられたとし、患者の新たな治療選択肢として経口薬のオルミエントの可能性に期待を示した。
●「オルミエント錠」の用法・用量
通常、成人には4mgを1日1回経口投与。患者の状態に応じて2mgに減量する(中等度の腎機能障害のある患者には、2mgを1日1回経口投与)