中外製薬の小坂達朗社長は1月30日に開いた決算説明会で、2013年の同社の売上収益は前年に比べ9.6%成長したと述べるとともに、2014年も「主力製品の成長とロイヤルティ等の堅調な伸びにより増収になる」との見通しを示した。
国内市場で今年大きく成長すると見込まれているのは、①新規適応症(悪性神経膠腫・卵巣がん)の着実な展開と肺がん・乳がんでのシェア拡大が期待される抗がん剤「アバスチン」(2014年予想:前年比58億円増)、②6月にも皮下注の長期処方制限が解除される関節リウマチ薬「アクテムラ」(20億円増)、③経口骨粗鬆症治療薬の市場をリードする成長が期待される「エディロール」(26億円増)、④昨年新発売した抗がん剤「パージェタ」(23億円増)、骨粗鬆症治療薬「ボンビバ」(34億円増)─などのがん/骨・関節領域の主力製品。一方、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の売上については前年比22億円減の88億円と予想している。
小坂社長は新薬開発状況についても説明し、近く国内申請を予定している非小細胞肺がん治療薬alectinibについて「画期的な成績を挙げており、1日も早く世界の患者に届けたい」と述べた。同社はalectinibを「第二のアクテムラ」に育成する方針だ。
2013年に国内市場で売上が伸びた中外製薬の製品
①がん領域:「アバスチン」(対前年比99億円増) ②骨・関節領域:「アクテムラ」(33億円増)、「エディロール」(71億円増) ③腎領域:「ミルセラ」(47億円増)
ヤンセンファーマは1月30日、昨年12月に成人期(18歳以上)への適応拡大が承認された注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬「コンサータ錠」(一般名=メチルフェニデート塩酸塩)についてメディア向けセミナーを開催した。
成人期AD/HDは小児期の症状が続くものだが、大人になって初めて診断されるケースもある。国内で適応が承認された治療薬としては日本イーライリリーの「ストラテラ」(一般名=アトモキセチン塩酸塩)が既にあり、これで2つの選択肢ができたことになる。非中枢神経刺激薬のストラテラに対し、コンサータは中枢神経刺激薬で、1日1回の服用で12時間の効果持続性があるのが特徴だ。
セミナーで成人期AD/HDについて解説した日本医大精神医学准教授の齊藤卓弥氏(写真)は、コンサータとストラテラについて「日中集中できることが第一優先という人もいれば、子育て中で夜中に子どもに起こされた時にも薬が効いている方がいいという人もいる。患者のライフスタイルに合わせて選択することが重要」と強調した。
コンサータは適正使用のため厳格な流通管理が行われており、販売は、登録された医師・医療機関・薬局に限定されている
18歳以上の患者に対する「コンサータ錠」の用法・用量
18mgを初回用量として1日1回朝経口投与。増量が必要な場合は1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mgまたは18mgの増量を行う。症状により適宜増減。1日用量は72mgを超えないこと。