No.5000 (2020年02月22日発行) P.65
大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)
登録日: 2020-02-19
最終更新日: 2020-02-18
2012年に開催された厚生労働省「『統合医療』のあり方に関する検討会」において、補完代替療法は、近代西洋医学と対立的に捉えられるものではなく、両者を組み合わせることによって患者の生活の質(QOL)を向上させるものと位置付けられた。しかし、補完代替療法が、安全性・有効性の観点から科学的知見が十分に得られているとは言い難い玉石混淆の状況にあることは厚生労働省も指摘している。
そこで、本検討会では、多種多様な補完代替療法について、効果の有無を問わず整理・分類した一覧(図)を公表した。
注目していただきたい点が2つある。
1つ目は、近代西洋医学と組み合わせる療法(補完代替療法)を、「国家資格等、国の制度に組み込まれているもの」と「その他」に区別している点である。これは、どのような補完代替療法が利用されているかは、各国の医療制度などの事情により異なるため、日本にふさわしい統合医療・補完代替療法のあり方を検討することを目的としている。
2つ目は、効果が否定されている療法についても取り上げている点である。これは、国民・患者あるいは医療者が各種療法について、そもそも科学的根拠があるのかないのか、もしある場合でも、それが肯定的なのか否定的なのか知る機会を設けることを目的としている。
これらを踏まえ、厚生労働省が、統合医療・補完代替療法に対して、どのような方針を執っているのか、次回、読み解いてみたい。
大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法②]