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【識者の眼】「日本の新型コロナウイルス対策は本当のところどうなのか(4)─費用負担の日米比較」佐藤敏信

No.5080 (2021年09月04日発行) P.57

佐藤敏信 (久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)

登録日: 2021-08-16

最終更新日: 2021-08-16

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今回から、新型コロナ禍における米国の状況、特に医療の費用を巡る状況を探っていきたい。その前に、日本の状況を復習しておこう。字数が限られているので端的に書くと、感染症法に規定されているので、感染症指定医療機関に入院している場合は当然のこととして、今般は、それ以外に入院した場合も、都道府県が医療に要する費用を負担することとなっている。また、医師の診察により感染が疑われる場合には、PCR検査、抗原検査もその対象となっている。感染症は患者本人の問題にとどまらず、文字通りその周囲に感染させ拡大していくので、受療が必須であって、その費用を公的に負担するという仕組みなのである。

さて、米国の状況だが、日本ではほとんど報道がないので、米国の公表資料やマスコミに頼るしかない。そこでニールさんにも協力をお願いした。私が興味があったのは、米国に3000万人、人口の8.5%いるとされる無保険者に対して、どういう措置がとられているかということだった。

まず米国社会保健省のサイトで、無保険者に対するコロナのケア1)を見てみた。そこには具体的に「検査2)、治療3)、医療機器4)の使用、緊急輸送および非緊急転送用の救急車、それにワクチン接種の費用について、保険に加入していなくても、米国に住むすべての人に100%無料で提供されます」とある。一方で、米国疾病予防管理センター(CDC)のページ5)には「超党派の、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES)6)、給与保護プログラムおよびヘルスケア強化法(PPPHCEA)7)、それにコロナウイルス対応および救済補足予算法(CRRSA)8)は、コロナウイルス対応の最前線に立つ病院およびその他の医療提供者に1780億ドルの救済基金を提供しました」とある。つまり、たとえ無保険であっても国民に必要な医療サービスが提供され、医療機関にも必要な資金が配分されている。

【脚注】

1)https://www.hhs.gov/coronavirus/covid-19-care-uninsured-individuals/index.html

2)診断と抗体検査の両方。それに検査関連の対面または遠隔診療

3)治療のための、外来及び遠隔診療、緊急治療室、入院患者または外来患者の観察、ナーシングホーム、長期急性期医療(LTAC)、リハビリテーション医療、在宅医療

4)酸素、人工呼吸器など

5)2021年1月26日に更新 [https://data.cdc.gov/Administrative/Provider-Relief-Fund-COVID-19-High-Impact-Payments/b58h-s9zx]

6)2020年3月27日成立

7)2020年4月24日成立

8)2020年12月27日成立

佐藤敏信(久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)[新型コロナウイルス感染症]

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