▼本誌の人気連載漫画「がんばれ!猫山先生」の第473回(10月3日号)では、インフルエンザワクチンが三価から四価になったことに伴い値上がりした「四価ショック」に苦慮する開業医の姿を描いている。今季は四価ショックに続き、インフルエンザワクチンの供給不足に陥る可能性にも見舞われた。
▼化学及血清療法研究所(化血研)のインフルエンザワクチンが承認されたものとは異なる方法で製造されたことが明らかになり、9月中旬から出荷ができない状態が続いていた。厚生労働省の感染症部会は10月21日、「製造方法の違いがワクチンの品質や安全性に重大な影響を及ぼす可能性は低い」とする専門家の見解などを基に、出荷を認めるべきとの意見を取りまとめた。厚労省は出荷自粛の指示を解除し、ワクチンの供給不足は回避された。
▼感染症部会では小森貴委員(日本医師会)が、化血研のインフルエンザワクチンのシェアは全国的には29%だが、九州地方や東海地方では50%を超える地域もあることを説明。かかりつけ医が高齢者らから事前に予約を受け付けたにもかかわらず、接種を断らざるを得ないといった現場の窮状を報告した。
▼今回、承認方法と実態との相違点の中に製品の品質に大きく関わる問題はなかったものの、ワクチン接種の現場には少なからず影響を与えた。もし有効性や安全性に問題のあるワクチンが製造されれば、大混乱に陥ることは想像に難くない。
▼なぜ承認方法と異なる方法で製造が行われていたのか、化血研は第三者委員会を設けて調査し、今後、厚労省の有識者会議に報告することとなっている。全てのワクチン製造企業で厳格な製品管理が行われるようにするためにも、化血研への処分だけではなく、しっかりとした検証がなされる必要がある。