株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

【東大講義録】 医療職をめざす人の 解剖学はじめの一歩

人気講義を完全収録。ヒトの体ってこんなに面白い!

定価:2,640円
(本体2,400円+税)

数量

カートに入れる

立ち読み

著: 坂井建雄(順天堂大学教授)
判型: A5判
頁数: 336頁
装丁: 単色
発行日: 2013年02月20日
ISBN: 978-4-7849-3215-3
版数: 第1版
付録: -

東大医学部にこんな面白い講義があった!€

■ 他学部の学生も押し寄せる人気講義を完全収録。

■ 人体のカンドコロを、著者独自の平易な語り口で解き明かしていきます。

■ 難解でとっつきにくい、暗記が大変、という解剖学のイメージは捨ててください。

■ 豊富な図版をまじえ、からだの「しくみ」と「しかけ」を楽しく学ぶことができます。

€「しくみ」と「しかけ」がわかれば、知らず知らずのうちに「なまえ」も覚えています。

■ これから解剖学の勉強をはじめる人に、ぜひおすすめしたい入門書です。

診療科: 基礎医学 解剖学

目次

第1回講義 人体とはどのようなものか
人間のカタチをどうとらえるか/体幹の骨組みを理解しよう/脊柱の区分にはどんな意味があるか/上肢と下肢の骨組み/解剖学の見方/内臓と体壁/解剖学の基本用語を覚えよう/運動の方向を表す用語

第2回講義 消化器と栄養吸収
「三大内臓」とは/「三大栄養素」の意味/人体はチクワである/咀嚼のための装置/歯は一生もの、大切に使おう/唾液がなければどうなる?/舌は筋肉の塊である/噛むことの意義/胃は一時的な貯蔵庫である/小腸は消化吸収の主役である/大腸は水分を吸収して便を作る/肝臓は生命に不可欠の重要臓器である/門脈から見える肝臓の働き/胆管から見える肝臓の働き

第3回講義 呼吸器と呼吸運動
鼻腔は空気を暖めるためにある/鼻腔とつながるもの/咽頭は空気と食物の交差点/喉頭の骨組み/発声の仕組み/人類はリスクを冒して音声を獲得した/気管は枝分かれを繰り返して細くなる/胸膜があるから肺はなめらかに動く/呼吸運動の中枢はどこにあるか/呼吸運動のための装置

第4回講義 腎臓の構造と機能
腎臓は臨機応変に尿の成分を変える/腎臓は体液の恒常性を保つために働いている/腎臓はどこにあるか/腎臓はどんな形をしているか/腎臓の内部はどうなっているか/腎臓の実質は糸球体と尿細管でできている/ネフロンは濾過と再吸収の2段階で尿を作る/糸球体はいったん壊れると再生しない/糸球体は毛細血管の塊である/メサンギウムは糸球体固有の結合組織である/糸球体の濾過フィルターは3層構造/糸球体の濾過フィルターは蛋白質を通さない/糸球体濾過量はどのように調節されているか/糸球体の形はどうやって決まるか/傍糸球体装置を構成する細胞たち/レニンは血圧を上げて濾過量を確保する

第5回講義 泌尿生殖器の発生
生殖器の4つのカテゴリー/男性の尿道と生殖器/女性の尿道と生殖器/膀胱は尿をためておく袋/泌尿器と生殖器は共通の起源から発生する/中間中胚葉の分化/腎臓の組織はどのように作られるか/腎臓は回転しながら上昇して背中におさまる/総排泄腔が分割されて膀胱ができる/生殖細胞は未分化でなければならない/性の分化を起こす引き金は何か/生殖堤は精巣と卵巣に分化する/性ホルモンが生殖管の分化をコントロールする/オスが性決定遺伝子を持つ理由/コアラの子宮はなぜ小さいのか

第6回講義 循環系と血液
循環系は体循環と肺循環、リンパ管で構成される/血管外にあふれた液はリンパ管が回収する/リンパ節は異物を処理するフィルター/心臓の成り立ちを理解しよう/前後から見た心臓の形/心基部を見れば心臓の構造がわかる/心臓にも骨格がある/冠状動脈は心筋に酸素と栄養を送る/拍動のリズムはどこで作られるか/心房と心室は時間差で収縮する/心電図の読み方の基本/弾性動脈と筋性動脈の違い/血液は細胞成分と液体成分がある/血漿蛋白はさまざまな役割を持つ/血液の役割

第7回講義 神経系
神経系の主役はニューロン/ニューロンを助ける細胞たち/有髄線維と無髄線維/神経の興奮とはどんな現象か/興奮伝導の仕組み/有髄線維はなぜ伝導速度が速いか/シナプスでは何が起こっているか/末梢神経の構成/中枢神経の構成/脳の内部には空洞がある/脳は液体の中に浮いている/大脳半球は4つの領域に分けられる/大脳皮質の役割分担/連合野は何をやっているところか/脳内の線維の通路/小脳は運動を円滑にする制御装置/間脳には視床と視床下部がある

第8回講義 骨格と筋
骨格を作る3種類の素材/骨組織は血管や神経が行き届いている/軟骨は動きのあるところに使われる/結合組織はつなぎ目を補強する/軽さと強さを実現した骨の内部構造/骨髄は造血組織である/骨は常に改築中である/骨の連結様式は関節だけではない/関節の一般的な構造/関節の付属装置/関節の可動性は関節面の形で決まる/骨の発生様式/骨格筋と心筋、平滑筋の違い/骨格筋の付属装置/筋線維の構造をくわしく見ていく/骨格筋の神経支配/筋肉は感覚器でもある/起始と停止/筋の名称

第9回講義 上肢の解剖
上肢の区分/上肢帯の骨/上腕骨/前腕の骨/手の骨/上肢の筋を7つのグループに整理する/胸部浅層の筋/背部浅層の筋/肩甲骨周辺の筋/上腕の筋/前腕の屈筋/前腕の伸筋/手内筋/親指の配置が器用な手を生み出した/自由な運動を可能にしているものは何か/肩関節は最大の可動域をもつ

第10回講義 下肢の解剖
下肢帯の骨/大腿骨/下腿の骨/足の骨/下肢の筋を9つのグループに整理する/内骨盤筋・外骨盤筋/大腿の伸筋・屈筋/大腿の内転筋/下腿の屈筋/下腿の伸筋/腓骨筋/足の筋/進化の過程で下肢の前面と後面が入れ替わった/大殿筋と中殿筋が直立二足歩行を可能にした/膝関節には体重の何倍もの荷重がかかる/膝関節は内部に十字靭帯を備えている

第11回講義 頭と感覚器
容器としての頭の骨格/顔とは何か/眼・耳・鼻は古い歴史を持つ/白目と黒目の正体/毛様体はピントの働きをする/虹彩は絞りの働きをする/明暗の差に順応する仕組み/光を感じる細胞は網膜の深部にある/視野の中心部は視力が良い/屈折の主役は角膜/外眼筋とそれを支配する脳神経/まぶたは何のためにあるか/耳の大部分は側頭骨の中にある/中耳は空気の振動を水の振動に変換する/耳管は鼓室の気圧を調整する/内耳は骨迷路と膜迷路で出来ている/半規管は回転加速度を感じる/前庭器は直線加速度を感じる/蝸牛は音を感じる

第12回講義 鰓弓器官
頭にエラのなごりがある/鰓弓由来の骨格/鰓弓由来の筋肉と神経の関係/三叉神経が支配する第1鰓弓の筋/顔面神経が支配する第2鰓弓の筋/舌咽神経が支配する第3鰓弓の筋/迷走神経が支配する第4第6鰓弓の筋/副神経は迷走神経の付属物/鰓弓由来の動脈/迷走神経の走行が動かぬ証拠/鰓嚢からできるもの

第13回講義 人体の発見の歴史
医学の元祖ヒポクラテス/現在の医療技術はいつ頃発達してきたか/ガレノスの解剖学/ヴェサリウスによる人体の発見/『ファブリカ』の解剖図/ハーヴィーの血液循環論/ハーヴィー以後の解剖学者たち/『ファブリカ』以降の解剖図/18世紀の解剖学書/『解体新書』/シーボルトとポンペ/献体の始まり

もっと見る

閉じる

序文

著者あとがき€

この本は、私が東京大学医学部の健康総合科学科で行っている、解剖学の講義が元になっています。講義の録音を元に、授業の雰囲気をそのまま再現しました。

私の講義のスタイルは、数枚のプリントを配って、それを見ながら、私が本質的に重要だと思うところを話します。細かな解剖学的な事実についてはあまり触れません。各自で教科書を読んで勉強してもらえばよいからです。むしろ、教科書にはあまり書いていないような事柄ばかり話しています。例えば、消化管に注目して人体をチクワになぞらえたり、腎臓は誠実で責任感の強い臓器だと言ったり。そういった語り口を通して、それぞれの臓器の本質的な重要事項を伝えたいと思っています。

この講義はもともと、1995に恩師の養老孟司先生が定年前に東京大学を退官されたとき、私が講義を引き継ぐことになったものです。養老先生の解剖学は、人体の構造についてほとんど触れない講義として人気の高いものでした。そんな名講義の向こうを張ろうなどという気はさらさらなく、人体の構造に機能を絡めて教える、まっとうな解剖学の講義をすることにしました。

授業の組み立ては、最初に解剖学総論、続いて内臓の諸器官、全身に広がる循環系と神経系、さらに部位別に上肢、下肢、頭を取り上げました。器官系統別と部位別を折衷したような形ですが、上肢、下肢、頭をそれぞれ1つの機能ユニットとして捉え、全体としては機能を優先した構成になっています。最後に進化と医学史の話を入れたのは、いろいろな角度から人体を見てもらいたいと思ったからです。

こうして始まった解剖学の講義を、18年間、毎年楽しみながら続けてきました。学生も面白がってくれているようで、他学部の学生がしばしば聴講に来ていましたし、授業の後に質問してくる学生もよくいました。日本医事新報社から、東大での私の講義の評判がすこぶる良いので、録音して本にしたいとのお話をいただいたとき、私自身はそんな評判を聞いたこともなかったのですが、自分で筆を執らないで本になるのなら、それもよかろうとお願いすることにしたのです。

€この本は、普通の教科書とはちょっと変わっています。解剖学の勉強をしなければいけないが、何が大切なのかよく分からないという人、要するに、医療職を志してこれから解剖学を学ぼうとする人たちの入門書として、役立つのではないかと思います。

これまで私は、解剖学を分かりやすく教えることを楽しんできました。その極意を、解剖学を学ぶ人・教える人に役立てていただければ、望外の幸せです。

2013年1月 八王子にて  坂井建雄

もっと見る

閉じる

レビュー

養老孟司先生 推薦!「人体とのきちんとした付き合い方を教えてくれる本」です

 
■表題は東大医学部で超人気講座をそのまま本にしたもので、13章で構成されており実にわかりやすく簡潔にまとめたすぐれものである。たまたま見つけて読んでみたがその面白さと内容の深さに脱帽した。
著者は坂井建雄教授で、あの養老孟司教授のあとを引きついで東大医学部健康総合科学科で解剖学を教えて18年、他学部の学生まで聴きに来る超人気講義となり、請われて講義を録音してそのまま本にしたものである。人体の仕組みを簡潔にまとめているが、その背景には膨大な知識と研究成果が感じられ、優れた人は難しいことをわかりやすく説明できるものだと思ったことである。遥か昔、学生時代の解剖学の講義にこのような講座があったら、ちっとも面白くなかった解剖学が好きになっていただろう。人体の関するさまざまな知識の断片がみごとにつながり、人体が動き出すようなそんな気持ちになったに違いない。医療職をめざす人だけでなくそれ以外の人でも必携の書物である。(産婦人科病院長ブログより)

■解剖学の絶対買い!な本が出ました。中身拝見しましたが私的には2冊買いかな・・。単色イラストの質も高い。美解の人にも最高だと思う。 (Twitterより)

もっと見る

閉じる

わかりやすい!

Amazonブックレビュー
レビュー対象商品: 解剖学はじめの一歩―医療職をめざす人の東大講義録 (単行本)
解剖学の初歩が書かれています。図が多いです。発生と絡めてわかりやすい説明もあったりで親切。骨学範囲も筋肉の動き方と絡めてイメージしやすいように書かれています。これだけじゃ解剖学は乗り切れませんが、エッセンスは学べると思います。解剖学のイントロに最適です。

もっと見る

閉じる

関連書籍

もっと見る

関連記事・論文

関連物件情報

もっと見る

page top