◆Vol.5 閉院時の残存医薬品の処分 38年クリニックを開業しておりましたが、高齢の為閉院を決意し、完全閉院いたします。医療機器の処分などは目途が立ちましたが、医薬品の処分に関してはどのような方法・注意点があるのかご教示ください。 |
未使用で消費期限内であれば、基本的には仕入れ先の医薬品卸会社へ返品可能です。 |
●返品不能な医薬品の処分方法、向精神薬・麻薬処分に関する留意点と処分業者選択時のポイント
1)自院で産業廃棄物として廃棄(薬品及び劇薬の一部)
錠剤・液体・軟膏などを内服薬、外用薬、注射薬等という分別の方法ではなく、素材形状に合わせ適切な処理と分別を行います(表1)。(作業は原則としてクリニック内で行う)
表1 薬品の形状別処理方法 | ||
形状 | 処理方法 | 留意点 |
バラ錠・バラ散系 | 個別に容器包装を外す/錠剤は潰す | 内容物を判別不能にする/内容物は紙袋等でまとめる/容器包装は素材別に分別処理 |
液体系 | 内容物と容器を分別 | 内容物が残存するため、分別後も薬剤と同様の廃棄方法 |
軟膏系 | 内容物と容器を分別 | 内容物が残存するため、分別後も薬剤と同様の廃棄方法 |
2)廃棄業者に一括処理を依頼
廃棄業者に依頼しても、クリニック院長は「医療関係機関等は、医療行為等によって生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」(廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル)の規定により廃棄物排出事業者となるため、委託業者の違反が判明した場合には、排出事業者である院長も原状回復の責任を連帯して負う可能性があります。そのため委託業者選定には、十分な検討が必要です。表2に業者選びのポイントをご紹介しますのでご覧ください。
表2 確認事項と判断ポイント | |
確認事項 | 判断ポイント |
最終処分までの処理の責任能力 | 同一業者が最終処分まで対応可能がベスト。あるいは、中間処理業者、収集運搬業者、最終処分業者名の明示が可能であること |
処理完了報告が適切か | 廃棄物の移動・処理状況を写真・記録で報告可能がベスト |
廃棄物管理票作成の確認 | 廃棄物管理票を明示できること |
処理費用の価格は適切か | 極端に安価な提示は、注意が必要 |
3)廃棄時に記録・届け出が必要な薬剤(向精神薬・麻薬)
◆向精神薬の処分についての留意点
向精神薬の廃棄については、許可や届出の必要はありませんが、第1種向精神薬及び第2種向精神薬を廃棄したときは記録(表3)が必要です。その記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。その他不明な場合は医薬品卸会社に確認してください。
表3 第1種向精神薬及び第2種向精神薬を廃棄する際の記録内容例 |
※第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄の場合 ●向精神薬の品名(販売名)・数量 品名 数量 ●譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日 年 月 日 ●廃棄方法(向精神薬の回収が困難な方法による) 焼却、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等 |
参考文献『病院・診療所における 向精神薬取扱いの手引』厚生労働省 |
◆麻薬の処分について留意点
廃棄は保健所の立会いの下での廃棄が必要であり、廃棄しようとする麻薬の品名、数量を記載した「麻薬廃棄届」(表4)を都道府県知事に提出も必要です。
ただし、未使用については返品できる麻薬もありますので、医薬品卸会社にご確認ください。
表4 麻薬廃棄届の記載内容例 |
●届出者の氏名(施設の長の職名・氏名・押印) 印 ●届出者の住所(診療施設の所在地) ●麻薬の品名(販売名) ●数量 ●廃棄年月日 年 月 日 |
参考文献『病院・診療所における 麻薬管理マニュアル』厚生労働省 |
以上、閉院時に残存した医薬品の処理方法と処理業者委託時の留意点をご紹介いたしました。
閉院後に思わぬ問題が発生しないよう万全の対策をお薦めします。
※最後に廃棄業者に関しまして代表的な業者様を下記に参考までにご紹介いたしますのでお問合せにご利用ください。
株式会社 万力は、長年の経験から厳選した信頼性の高い処分場の中から、安全面・法律面・技術面・価格面等、多角的に検討を行い、排出事業者様にとって最適な運搬方法と処分場の選定を行います。選定理由なども排出事業者様にご説明いたします。
お気軽にお問い合わせください。
TEL:048-781-5284(受付時間/平日 8:30~17:30)
会社概要 http://www.banriki.com/company/about.html
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