◆Vol.8 設立後23年、経過措置型医療法人の第三者への譲渡 Vol.7と同条件でのご紹介です。 |
経過措置型医療法人を第三者に譲渡することは、旧理事長(院長)の出資持分を法人社員の身分を持った親族以外の第三者に譲渡することにより、理事長(院長)が交代することになります。 |
Vol.7で親族による継承をご紹介いたしましたので、今回は第三者への継承についてご紹介いたします。親族への譲渡のように単純な持分の移行だけでは完了できない点が多々ありますので、列記いたします。
●譲渡価格の決定はお済みですか?
該当医療法人の評価額となりますので、経営状態、法人所有資産により金額が査定されます。いわゆる、のれん代・カルテ・土地建物の所有状況などを検証することで金額が確定します。その為、マイナス資産と判定される恐れのあるものは、精算し身ぎれいな状態が高額査定の条件とお考えください。
それでは、マイナス資産になる恐れのあるものを幾つか列記いたします。
・医療事故
・診療報酬不正請求
・高額な借入金
上記のようなマイナス要素はありませんか? この点は評価において大切な事項です。
もう一度ご確認ください。
譲渡価格、特にのれん代に関してはご本人のご希望がおありでしょうが、適正な価格により安心して患者様を委ねられる継承者を探すことを念頭に、プロの査定を受け決定することを強くお薦めします。
●他の法人理事に対する譲渡に関する説明と承認はお済みですか?
理事全員の承諾を得て行うことにより、スムーズな譲渡が望めます。
理事の一括変更は、認められない場合もありますので、行政機関に確認が必要です。
●従業員の引き継ぎは?
継承にあたり継続雇用を希望された場合の対応には、退職金などの問題もあるため十分な検討が必要です。
●理事長所有の土地・建物をどのようにするか?
今回の事例では、土地・建物は理事長所有の状態ですが、そのまま所有し賃貸借契約により継続する場合は賃料の決定が必要となります。
引退後の一定収入確保を望まれる場合は、この形態が多いと思われますが、決定の折には、賃料以外に契約に関する詳細な条件を適切に対処できるコンサルタント等に相談し、後々問題が発生しないようにすることをお忘れなく。
また、土地・建物を事前に法人に譲渡とし法人財産とする場合も、同様にプロの査定を必ず受けて進めましょう。
●出資持分に対する評価額の決定と税務対策は万全ですか?
経過措置型医療法人を第三者に承継する場合には、出資者は出資持分の払戻請求について出資額に応じた評価額を請求可能ですが、出資額を超える金額に関しては所得とみなされ課税対象となります。金額の決定や税務上の対策を講ずることも重要です。
例えば、譲渡価格のうちの出資持分に関しては、前理事の退社退職金を設定し法人剰余財産を減少させることにより、出資持分の評価を下げることができ、税務上は得策となるなどプロの知識が有益です。
是非信頼できるパートナーをお持ちください。
以上、経過措置型医療法人を第三者へ譲渡する折に確認いただきたい内容を簡単にご紹介いたしました。
継承希望者がどんな点を確認するかに関しましては、開業編をご覧ください。
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