No.5000 (2020年02月22日発行) P.68
畑山 博 (医療法人財団足立病院理事長/社会福祉法人あだち福祉会理事長)
登録日: 2020-02-19
日本の少子化が止まらない。戦後第一次ベビーブームの時に生まれた子供の数は、年間270万人。その子供たちが作った第二次ベビーブームでは、年間200万人が生まれた。そして、期待に反して第三次は来ないまま、その子どもたちは40歳を超え、子供を産み育てる年齢を過ぎようとしている。2016年に年間出生数100万人を切った時はマスコミに大きく取り上げられたのも束の間、2019年は90万人を切り86万人まで減ってしまった。つまり3年間で、15%程度減った事になり、まさに想定外!
実は、この50年間、国立社会保障・人口問題研究所が7回、今後の出生率の推移予想を発表している。いずれの予想も「現状は厳しいが、今後緩やかに回復に向かう見込み」というものでどれも当たっていないことは、現状を見れば一目瞭然。実は、同じように少子化が大問題になったフランスでは、50年の年月をかけて少子化抑制のために、社会全体で、女性が子供を産んで育てやすい働き方改革を推し進めており、少子化を克服しようとしている。
戦後生まれの高齢者が75歳になり、今後年間150万人を超える方々が亡くなる。このまま少子化が続けば、日本の人口は、毎年80万人近く減っていく計算になるが、これは想定内か? つまり、毎年地方の中核都市どころか、県そのものがなくなっていく計算だ。いつも高めの想定を出す前述の国立機関は2017年に公表した最新の推計で、日本の人口は2060年には8800万人、2100年には5000万人を切る可能性に触れている。いつものように外れることを祈らずにはいられない。
畑山 博(医療法人財団足立病院理事長/社会福祉法人あだち福祉会理事長)[#想定外②]