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【識者の眼】「実務委員会の活動:緊急要望の取りまとめ」岩中 督

No.5041 (2020年12月05日発行) P.59

岩中 督 (外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)

登録日: 2020-11-26

最終更新日: 2020-11-26

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前号(No.5037)では、実務委員会の主たる活動である厚生労働省とのヒアリングについて述べた。本稿では、不合理な改定や矛盾の見られる改定が行われた項目について、改定直後の6月に厚生労働省に異を唱える緊急要望について述べる。

緊急要望に該当する不合理な改定はそれほど多くはないが、実務委員会では改定の概要が公表される3月に、各学会に不合理・矛盾点の意見募集を行っている。5月中旬に実務委員会を開催し、意見を提出した学会からの説明を求め、取りまとめたうえで6月に厚生労働省に提出している。よほどの不合理がない限り、直ちにこの緊急要望が採択されることはなく、多くは次回改定での採択になるがその採択率は高い。2018年度改定の際に緊急要望した10項目のうち7項目が2020年度改定において考慮された。その中で、「K133-2後縦靭帯骨化症手術(前方進入によるもの)」の増点、「K147-2 頭蓋内モニタリング装置挿入術」の新設、「K172 2脳動静脈奇形摘出術(複雑なもの)」の項目の見直し、「B001 28小児運動器疾患指導管理料」の注の見直し(算定年齢の拡大)などはほぼ要望通り採択されたものの、「L009麻酔管理料(Ⅰ)の長時間麻酔管理加算」の適応拡大は、手術試案で7時間以上の15術式で要望したが、残念ながら3術式で採択されたのみであった。次回改定で再度要望していく予定である。また、実際に使用しているにもかかわらず十分な個数が算定できていなかった自動縫合器・吻合器について16術式で一括要望を行ったところ、ほぼ全術式において要望が認められた。

これらの緊急要望は、外保連手術試案上、不合理・矛盾点と認定された項目に対して行っており、科学的根拠のもとに客観的に要望を行うことにより高い採択率を獲得している。今後も、外保連試案の精緻化に努め、外科系診療の評価を高めていきたいと考えている。この外保連シリーズも次稿で終了することから、最終稿では外保連の広報活動について述べたい。

岩中 督(外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)[外保連]

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