No.5076 (2021年08月07日発行) P.56
志賀 隆 (国際医療福祉大学救急医学主任教授、成田病院救急科部長)
登録日: 2021-07-27
最終更新日: 2021-07-27
日本のワクチン接種は供給量確保の問題はあったものの、政府、自治体、医療機関の連携により十分なスピードで進んでいます。
ここで気になってくるのが、我々が現在行っている感染対策をいつから解除していくか、です。いつまでも自粛を続けることは社会として困難です。ご存知のように、英国や米国ではマスク着用は義務ではない、という方向性を打ち出しています(米国はワクチン接種者限定)。しかし、変異株(デルタ株)であったり、英国で一部使用されたアストラゼネカ社製ワクチンの変異株への効果であったり、複数の要因からこれらの国では感染者数が増えています。当初は、感染数が増えても死亡者数は増えない状況でしたが、ここにきて英国では死亡者数が漸増しています。
我々としては、ワクチン接種が行き渡ったコミュニティで何が起きるか? を学びながら感染対策の解除時期を考えていく必要があると思います。
私は新規患者数が減少傾向で、検査の陽性率も5%を下回る状況になった際に解除を検討したらよいのではないかと考えています(WHOは経済再開の目安を検査の陽性率が5%を下回ることとしています)。ただ、新たな変異株の出現、ワクチンの有効性の時間経過による漸減などには注意が必要です。新規感染者⇒新規入院数⇒新規死亡者数という順に統計数値が移行していくため、感染対策の解除時期の検討は「(解除後に)再度感染対策をする」時期はいつなのか? を考えることもセットであると考えられます。
志賀 隆(国際医療福祉大学救急医学主任教授、成田病院救急科部長)[新型コロナウイルス感染症]