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【識者の眼】「診療報酬改定考(その2)―感染対策向上加算」邉見公雄

No.5117 (2022年05月21日発行) P.67

邉見公雄 (全国公私病院連盟会長)

登録日: 2022-04-28

最終更新日: 2022-04-28

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前回(No.5110)のこの稿では「筋の悪い看護師処遇改善」を直言させていただいた。今回は感染対策向上加算を中心に、各方面からの悲鳴にも似た声を伝えさせていただきたい。

この加算は1と2があったものを今回1、2、3とし、1は高額に評価される仕組みとした。以前の加算1は協力病院も可であったが今回は重点病院のみに限定し、Q&Aでも「現時点では……重点病院に……」と記載されている。これに関して、ある県の基幹病院から私に「現時点では重点病院、将来は協力病院にも拡大という意味か?」との問い合わせ。厚生労働省に確認すると「現時点とは、感染症新法では今後の新興再興感染症の襲来を予測しているが、今はCOVID-19を対象としている。重点病院に掛かる副詞ではない」とのこと。

この病院は救急車受入れ県内2位で、そのための病床が必要で協力病院以上の病床確保が困難とのこと。一方、コロナ患者をあまり受け入れず空床で認定可能な病院もあり、地域医療の仲間のひび割れ要因になりそうな危惧も生じる。もう少し現場感覚で決めてほしいものである。これは改めて要望する必要があろう。

今回の改定と2022年度の国家予算を見る限り、岸田首相が自民党総裁選で唱えた「新しい資本主義(1%の富裕層から幅広い中間層を取り戻す)」という施策にはマネーもマンパワーも見当たらない。口先だけの目くらましと言われても仕方ないのでは? 新しい資本主義の中核部隊は医療・介護と保育・教育であり、この分野は女性や地元での職場も多く結婚や育児がしやすい分野でもあると確信している身としては期待外れも甚だしい。

また、一番困難な問題である少子化と東京一極集中への対策や方向性も皆無。コロナで少子化は益々加速し、東京一極集中はリモートワークなどで男子では微減、女子は未だに増えている。コロナは手強く、新手新手で先が読めず藤井五冠級。まだまだ長引きそうな悪い予感さえする。ウクライナ侵略のロシアと並んで頭痛の種への対策が待ち遠しい。読者緒兄姉、編集諸賢の御意見や如何?

邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[診療報酬改定]

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