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【識者の眼】「カードいろいろ」神野正博

No.5146 (2022年12月10日発行) P.60

神野正博 (社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)

登録日: 2022-11-30

最終更新日: 2022-11-30

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買い物の度に店員から「ポイントカードをおつくりしましょうか? お得ですよ」と言われるのに対して生半可な返事をするものだから、ポイントカードが増え続けた。今度同じ店に行く時のためにと思うが、カード入れはパンパンになり、実際その店に行ったとしても、「あれ? あるはずなんだけど」と容易にポイントカードを出すことができない。結局新しいポイントカードをつくったりする。

最近では、カードではなくアプリ登録が増えてきた。確かにカード入れには余裕が出てくるが、スマホでアプリを探すのに目が泳ぐ。

店にとっては、CRM(Customer Relationship Management)戦略、すなわち「囲い込み戦略」だ。やる店が少ない時には十分な利益があったろう。しかし、猫も杓子もとなるとその効果も薄いに違いない。一方で、お客と店側の悩みの解決策として、共通ポイントがある。これとて、何種類もありなかなか大変だ。

さて、医療DXだ。データヘルス改革として、オンライン資格確認、自身の医療情報の確認、さらには電子処方箋の発行などの施策が進みつつある。加えて、健康保険証や医療職の資格確認をマイナンバーカードに統合する計画も動きはじめた。マイナンバーカードの利活用は、ワクチン接種証明のほか、運転免許証、税金の申告などと期待が広がる。

北朝鮮と休戦状態の韓国やロシアに隣接するエストニアなど、個人カードで多くの行政手続きや民間利用が進む先進国は、絶えず国の外からの脅威にさらされている。国の危機対応の様相だ。そういった意味で、「平和ボケ」の日本だからこそ、進まないのかもしれない。

そんな中、電子処方箋の医師資格確認にHPKIカードなるものが必要だという。そもそも病院として医師を確認して雇っている中で、さらに資格確認の必要性があるのか。医療監視での医師免許確認は何のためにやっているのか。百歩譲って資格確認が必要だとしても、なぜマイナンバーカードを使えないのか。このHPKIカード発行にどのくらいの期間が必要か。電子カルテ端末にカードリーダーを付けるシステム改修にどれだけの資源が必要か。そして、そんなことより、またカードの枚数が増えることは勘弁して頂きたいものだ。

神野正博(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)[HPKIカード]

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