No.5015 (2020年06月06日発行) P.63
三宅信昌 (三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)
登録日: 2020-06-01
最終更新日: 2020-06-01
今回は医療費についての解説を致します。一般的に医療費というと、病院等の窓口で支払われる費用と残りの保険者から支払われる費用の合算と考えてしまいがちですが、これだけではありません。医療としては、他にも多くのコストがかかっており、これらを含めた医療費全体と医療技術による効果を比較することが本来の費用対効果分析です。
医療費は以下の3つに分類されています。
通常医療に関わる費用(診察・薬剤・検査・手術・リハなど)、自費で購入した健康補助食品や代替医療費。
通院にかかる費用(交通費)、患者のお世話のための介護費用(付き添いなども含む)、杖や歩行器・自宅改造(手すりやリフォーム代)などの購入費。
一般的には「労働損失」と言われるものです。労働とは、一般的な就労だけでなく、家庭人としての仕事(主婦的作業や子供や孫の世話など)も含まれます。ある疾患に罹患することで、就労や家庭内作業に障害が出た場合にはそれによる費用損失を生じることになり、間接医療費となります。
労働損失は以下の3つに分類されます。①absenteeism:労働を欠勤した率、②presenteeism:出勤時の障害率(仕事していても調子が悪いなど)、③activity index(活動障害率):労働以外の生活において、疾患によって障害された日常の制限。
①②の合計は全労働障害率(OWI:overall work impairment)と言われます。
費用計算は、absenteeismは患者ごとの時給から算出可能で、presenteeismとactivity indexは患者が数値化スケール(NRSやVASなど)で評価し算出します。その合計が間接医療費となります。
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医療費を医療機関におけるコストだけではなく、患者の生活そのものに関わるコストを含めて計算する(直接医療費、直接非医療費・間接医療費)ことで真の費用となり、ある医療行為がどれだけ患者さんの人生の幸せに寄与したかを評価できることになり、これが真の費用対効果であると考えます。
三宅信昌(三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)[診療報酬点数]