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■NEWS 中井久夫神戸大名誉教授が死去─統合失調症研究に貢献、阪神大震災で被災者のケアに尽力

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  • 日本医事新報1995年6月17日号 特集「大規模災害と医療─阪神・淡路大震災の記録」より
    専門家に聞く─それぞれの視点からみた大震災〈精神医療〉(中井久夫 神戸大精神神経科教授)

    今回は、メンタルケアの必要性が非常に初期からいわれていたので、私たちとしてはやり易かった。精神科救護所を各保健所に作ったのが第一段階。3日目くらいからでき始め、10日目には行き渡った。その頃は既に避難所を訪問するという次の段階に入り、大きな避難所には精神科医が常駐する形になった。

    1月の終わりには医師とカウンセラーが合同で24時間の電話相談を始めた。全国の精神科医が神戸に集まってくれたので、新しい問題を掘り起こしたり、“御用聞き”に回ることができた。災害時に精神科医療をこれだけ充満させた例はないのではないか。学閥的な大学の縦の系列を破って行動できた点は今後のいい収穫になるかもしれない。

    精神科の患者が社会との間に摩擦を起こしたことはなかった。それは世間に認識してもらいたい。患者たちはむしろ落ち着いていた。

    いろいろな非常措置がとられ、保健所で診療した場合、普通は投薬はできないが、それを厚生省が後から認めた。向精神薬の輸送を患者が求めた時、麻薬取締法に違反するという声もあったが、それも結局厚生省が追認した。

    今回は現実の後を追うのではなく、PTSDの問題など現実を先取りしながら手を打ったということはある程度いえると思う。災害が始まってしまったら、すべては状況。状況の中で何が最善かという判断ができなければならない。官僚根性みたいなものは少しひっこ抜いてもらう必要がある。後で始末書を書くくらいの覚悟でやらないと医師はやれない。

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