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【識者の眼】「地域におけるチーム医療と医師の役割」石橋幸滋

No.5000 (2020年02月22日発行) P.26

石橋幸滋 (石橋クリニック院長、東久留米市医師会会長)

登録日: 2020-02-24

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現代の医療は高度かつ幅広くなっており、医師一人でできることに限りがあることは言うまでもなく、多職種連携や協働が求められている。昨年日本でラクビーのワールドカップが開催され、チームスポーツの素晴らしさが再認識されるとともに、「ワンチーム」という言葉が流行語大賞を取ったことは記憶に新しい。そこで、地域医療の現場でもワンチームになるために必要な医師の役割について述べてみたい。

病院の医療チームでは、医師はチームリーダーの役割を担うことが求められている。そして、同一職場のチームリーダーに求められる役割は、①目標を設定する、②チームをまとめる、③メンバーを育てる、④業務を管理する、⑤情報を管理する─ことなどであり、仕事の目的、目標を理解し、チームメンバー全員の特徴や性格を把握した上で、メンバーそれぞれの特技を活かした活動を尊重しながらも、全員が同じ目標に向かって共に行動するよう導いていくことである。

しかし、地域の医療介護チームでは、所属も違う多職種が患者のためにチームを組んでいるため、医師が病院におけるチームリーダーと同様の役割を果たすことはきわめて難しい。なぜなら、我々医師は地域で働く様々な職種の役割や特徴を十分理解しているとは言い難いし、それぞれの特技を活かした活動をまとめていくだけの力量に欠けている場合が少なくない。

一方で、開業医の外来診療も大きく変わろうとしている。2019年厚生労働省は「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を公開したが、その中でこれからの開業医の役割として、在宅医療、休日夜間診療、予防医療、地域包括ケアへの参加などが求められている。

地域で働く医師は、これらをきちんと理解した上で、ある時はチームリーダーとして、ある時は調整役(コーディネーター)として、そしてある時はチームの一員として、患者のより良い安心と幸せを考えて活動していかなければならない。

石橋幸滋(石橋クリニック院長、東久留米市医師会会長)[多職種連携・協働]

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