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【識者の眼】「Global Sepsis Allianceとは?」中川 聡

No.5011 (2020年05月09日発行) P.38

中川 聡 (国立成育医療研究センター集中治療科診療部長)

登録日: 2020-05-10

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敗血症は、多くの方々が想像しているよりもcommon diseaseである。日本の死亡統計によると、敗血症の死亡者数は、年間約1万人とされるが、海外の研究結果と照らし合わせると、死亡に敗血症が関わった患者数はその10倍に及ぶと推察される。現在、世界では、死亡する人の5人に1人は敗血症が関与していると報告されている。敗血症は、日本のような先進国に限らず、発展途上国も含む世界的な問題である。患者数が多い、重症化しやすい(死亡者が多い)、また、生存しても種々の後遺症に苦しむ患者さんがおり長期的に社会的にサポートが必要となる―といった問題点を有している疾患である。

こういった世界的な問題を解決しようとして結成されたのがGlobal Sepsis Alliance(GSA)である。GSAは、World Federation of Intensive and Critical Care(WFICC)などの集中治療にかかわる世界的な組織が設立母体となり、2010年に結成された。2年後の2012年には、GSAが9月13日をWorld Sepsis Day(世界敗血症デー)と制定し、その後、毎年この日に世界中の市民へ向けて、敗血症に関する啓発事業を展開している。

敗血症に関する世界的団体としては、Surviving Sepsis Campaign(SSC)が知られている。SSCは、敗血症のガイドラインを策定し、学問的に世界の敗血症の問題を解決しようとしている。一方、GSAは、SSC活動の周辺領域、特に、一般市民への啓発や各国政府への政策医療としての働きかけなどを行い、敗血症の診療体制を改善することを目的としている。その活動の一つの結果が、2017年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)総会で「敗血症は世界的に解決すべき問題である」という決議が採択されたことである。これが、世界各国で政府主導での敗血症対策が講じられるきっかけになっている。

日本は、このGSAに2012年から参加している。GSAは現在、世界中に支部を作り、アジア太平洋地区にはAsia-Pacific Sepsis Alliance(APSA)があるが、日本敗血症連盟(Japan Sepsis Alliance:JaSA)もこのメンバーである。JaSAは、日本国内の敗血症問題の解決のみならず、アジア太平洋地区、そして、世界と連携して、世界の敗血症の問題の解決に尽力したいと考えている。

中川 聡(国立成育医療研究センター集中治療科診療部長)[敗血症の最新トピックス②]

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