1986年の男女雇用機会均等法施行後、男女共同参画社会基本法が施行されたのは13年を経過した1999年である。さらに、男女共同参画推進を加速する目的で、第三次男女共同参画基本計画(以下、基本計画)が2010年に閣議決定された。基本計画では15の重点分野について成果目標が掲げられ、中でも2020年に女性が指導的地位に占める割合を少なくとも30%程度を目処とする目標は、各方面で大きく取り上げられている。この30%の意味は、男女雇用機会均等法が施行されて四半世紀を経過した現在においても、30%という枠でしか女性が評価されていない、すなわち70%の男性優位を肯定しているということである。このことを、誰も指摘していない。
医療界における男女共同参画の実例として、日本医学会の臨床系分科会における役員数(理事・監事等)を見てみると、2013年に日本皮膚科学会と日本麻酔科学会に1名ずつ誕生したが、最も女性会員数が多い日本内科学会はもとより、女性医師の割合が30%前後を占める日本眼科学会、日本小児科学会、日本産科婦人科学会では不在である(日本外科学会女性外科医支援委員会:日本医学会分科会における女性医師支援の現況に関する調査報告書、2012年)。政策決定に関わる場面において、同じテーブルに女性がいることの違和感はあっても不在の違和感はないのであろう。このように医療界では、政策決定に携わる重要な地位における不平等が厳然と存在している。
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