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【識者の眼】「コロナが糖尿病治療にもたらす『行動変容』(2)」細井雅之

No.5015 (2020年06月06日発行) P.55

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2020-05-26

最終更新日: 2020-05-26

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今回は、新型コロナが血糖コントロールに及ぼす影響をまとめて報告したい。対象は当院に通院の糖尿病患者さん(薬剤変更がない860名)で2020年1月から4月末までのHbA1Cの変動を調べた。血糖コントロールには季節変動がある(冬に高値、夏に低値が多い)ため2019年1月〜4月のHbA1C変動と比較し、例えば、2019年は1.0%減少の方が2020年に1.0%上昇ならば変化量は+2.0ポイントとした。結果は60.2%が昨年より悪化しており、平均は+0.19ポイントであった。3〜4ポイント悪化の方もいる()。悪化の原因は「コロナ対策で車通勤になり歩かなくなった」「子供が家にいるようになりおやつが増えた」など、運動量の低下と食習慣の悪化である。しかし逆に4割ほどは、昨年よりも改善している。原因は、「外食が減り家で野菜を多く摂るようになった」「出張がなくなり外食しなくなった」と、外食産業には申し訳ないが、糖尿病患者にはいい面もあったようである。今後は、外食を摂りながらでもこのいい食習慣を継続できるように「行動変容」の継続化を図りたい。

今、医療業界で問題になっているのは、新型コロナがもたらした受診抑制である。当科の外来患者数では、1月〜4月に2回以上受診した患者さん(地域連携していない患者さん)は2019年1576人であったのが2020年は1249人であった。21%減少である。連携先のクリニックでも治療中断されていないかと心配する。病院団体の調査では新型コロナ感染症受け入れ病院の4月の利益率が10%を超える赤字に転落したとのことである。新型コロナは「経営変容」まで起こしている。

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長[新型コロナウイルス感染症]

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