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【識者の眼】「要介護認定制度の問題点とIT化への期待」東 憲太郎

No.5018 (2020年06月27日発行) P.64

東 憲太郎 (公益社団法人全国老人保健施設協会会長)

登録日: 2020-06-08

最終更新日: 2020-06-08

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要介護認定は、申請→認定調査員による調査→主治医意見書を併せた一次判定→介護認定調査会による審査(二次判定)→要介護認定という流れになっている。そして2018年度の認定件数は、新規申請、変更申請、更新申請合計で約560万件である。さらに申請から最終判定までに要した日数は、平均38.5日となっている。

介護保険制度が施行されてから20年、上述した要介護認定制度が抱えている問題はいくつかある。まず認定調査員が足りていない。認定調査員の資格要件はケアマネジャーであったが、直近の制度改革でケアマネジャー以外でも専門的な知識を有していれば可能となった。しかし認定調査員の質の担保ができるのかといった声も聞かれる。次の問題点は、申請してから認定までに1カ月以上かかってしまう、という点である。申請日に遡ってサービスが受けられるとはいえ、リスクを伴う。例えば、要介護①に認定されると想定して老人保健施設へ入所した場合、要支援になると約20万円が自費扱いとなる。このような問題点の影響を少しでも軽減するため、認定の有効期間は度々延長され、直近では、更新認定とは言え、上限が48カ月まで延びた。しかしこのことはさらなる問題をはらんでいる。つまり状態が改善したとしても、長期間その介護度が維持され、余分なサービス提供が継続されるリスクがある(改善した理由での変更申請はほとんどない)。

今やITによる効率化が叫ばれている時代である。I-ADL、ADL、認知症の共通の評価指標があれば、調査判定ロボットが使える。またAIを導入することで認定審査会をなくすことができるであろう。介護認定を全て自動化すれば、要する期間やコストも劇的に圧縮できる。更新も全て1年毎にできるし、生活機能が改善した場合も、もれなく反映されることとなり、無駄なサービス提供もなくなると思われる。

東 憲太郎(公益社団法人全国老人保健施設協会会長)[#介護保険制度]

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