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【識者の眼】「真の費用対効果を考える(各論その5)〜各疾患の増分費用対効果(ICER)」三宅信昌

No.5031 (2020年09月26日発行) P.61

三宅信昌 (三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)

登録日: 2020-09-10

最終更新日: 2020-09-10

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今回は、医療経済の中でも、ある疾患を有している1人の人間が1年間健康に生きるために医療費がいくら掛かったかを計算した増分費用対効果(incremental cost effectiveness ratio:ICER)について解説致します。これは費用対効果分析の中で、臨床効果が異なっている各疾患の比較検討を行うために、大変重要な指数となっています。今回、各国、各疾患で種々のデータを出しますが、その効用値(ICERの基準となる評価項目)の基準は統一されていないため、単純な比較検討はできませんが、今後のご参考になるようご紹介いたします。

<各疾患のICER文献>

①ICERを評価した疾患、②評価の治療薬・方法、③比較対象となった治療薬・方法、④アウトカム指標、⑤文献の国名、⑥ICER(日本円に換算:2020年8月時点)


1. ①心血管疾患、②アトルバスタチン、③通常治療、④心血管疾患・死亡率、⑤アメリカ、⑥108.6万円

2. ①急性冠動脈疾患、②シンバスタチン、③スタチン、④死亡率、⑤イギリス、⑥163.1万円

3. ①心血管疾患、②スタチン、③無治療、④脂質レベル、⑤オランダ、⑥708.0万円

4. ①心血管疾患、②スタチン、③無治療、④心血管疾患、⑤オランダ、⑥267.1万円

5. ①心血管疾患、②スタチン、③無治療、④LDL、⑤オランダ、⑥276.6万円

6. ①呼吸器アレルギー、②皮下免疫療法、③非皮下免疫療法、④アレルギー性鼻炎、喘息、死亡等、⑤ドイツ、⑥43.6万円

7. ①消化器疾患、②内視鏡検査、③非内視鏡、④消化器症状、⑤イギリス、⑥6.1万円

8. ①高尿酸血症、②フェブキソスタット、③アロプリノール、④尿酸値、⑤イタリア、⑥1.0万円

9. ①脳梗塞、②シロスタゾール、③アスピリン、④再発、⑤日本、⑥180.0万円

10. ①慢性腎疾患、②MDCプログラム、③通常治療、④死亡率、⑤アメリカ、⑥538.5万円

11. ①喘息、②レスリズマブ、③通常治療、④増悪率、⑤イギリス、⑥421.1万円

12. ①関節リウマチ、②生物学的製剤、MTX単剤、④疾患活動性、⑤日本、⑥381.8万円


三宅信昌(三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)[診療報酬関連]

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