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【識者の眼】「すすめDX! オンライン診療のあり方を問う」神野正博

No.5046 (2021年01月09日発行) P.60

神野正博 (社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)

登録日: 2021-01-01

最終更新日: 2020-12-24

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新年あけましておめでとうございます。

コロナで始まった2020年も、コロナで終わることなく、2021年新年もコロナ漬けとなった。医療従事者の緊張状態を、国民、政治家が理解できた日にコロナは終焉を迎えるのかもしれない。

新政権誕生と同時にデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の狼煙が打ち上げられ、その象徴のようにオンライン診療の恒久的実施が叫ばれている。厚生労働省の抑制的な議論と並行して、医療の外にある規制改革推進会議等では無制限解禁論が渦巻いている。

確かに、患者の顔をロクにも見ず、コンピュータ画面を見ながら診療する医師を見ているとオンラインでいいのではと思う御仁もいよう。しかし、そういう医師は遠からずAIに駆逐されることだろう。患者の話を聞き、触り、音を聞き、いわゆる身体所見を丁寧に取る臨床推論は診断する以上必要だ。顔を見るだけでピタリと当てるのは魔術師の世界だ。

一方で、密接を避けるためには非接触であり、密集を避けるためにはリモート(オンライン)だ。そこで、原理主義的なオンライン診療への賛否ではなく、オンライン診療が成り立つ以下の2つのあり方を提言してみたい。

①コンサルテーション機能

まさに受診相談だ。例えば、「めまいがする」時に、耳鼻科を受診すべきか、内科を受診すべきか、はたまた脳神経内科を受診すべきか悩む患者は多い。それを、オンラインであらかじめ相談し、可能ならばしかるべき専門家の診療につなぐ(紹介する)機能は、患者にとっても、また医療者にとっても時間の無駄を省くことだろう。

②医療者を介した診療

オンライン診療は、医師対患者(D to P)をイメージすることが多い。しかし、これを医師対医師と患者(D to D with P)、医師対看護師と患者(D to N with P)としたならばどうだろうか。患者の傍らにいるかかりつけ医と遠隔の専門医がつながり、医師同士が意見を交わしながら適切な治療に結び付ける、あるいは看護師が病棟や訪問先の在宅で患者の画像を共有しながら医師と話し合い適切な治療に結びつけるという立て付けだ。医師の働き方改革対策にも資するかもしれない。

両者ともに診療報酬はどうなるのかといった議論は必要だろう。しかし、医療の質が向上するのは確実だ。ならば、カネは後から付いてくると考えてスマホでもタブレットでも使って、できることから積極的にチャレンジする時ではなかろうか。

神野正博(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)[オンライン診療]

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