No.5053 (2021年02月27日発行) P.56
中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)
登録日: 2021-02-02
最終更新日: 2021-02-02
昨年はコロナ禍で訪問看護業務における感染対策や、一時休業に追い込まれたカフェに通えなくなったお客様のフレイル対策などに奮闘する毎日でした。しかしながら、能登北部は感染者も少なく、市中感染は起こりましたが、クラスターには至りませんでした。
さて、私には看護師をしている息子夫婦がいます。昨年の春からコロナ病棟に勤務していた息子は色々と覚悟を決めていたらしく、頻繁に実家に顔を出すようになっていました。自分たちにもしものことがあれば、まだ我々夫婦になついていない孫を委ねなければならないと考えていたのでしょう。
年が明けて私の耳に飛び込んできたのは、この息子夫婦がコロナ陽性と判明したという衝撃的なニュースでした。
年末に実家に顔を出した息子夫婦と2歳の孫は、正月には訪れることなくお嫁さんの家に挨拶に行き、そこで御馳走になったのが1月2日でした。子供も入れて総勢9名。いわゆる大人数での会食です。陽性と判明したのは7日で、微熱と軽い感冒症状があったお嫁さんは入院し、無症状の息子と陰性だった孫は自宅待機となりました。
自宅待機で急変して亡くなるケースもあるというニュースを聞き、私は1日に何度も安否確認の電話をして、家の前まで食料などを運びに行きました。ありがたいことに病院の仲間たちもお供え物のように家の前に食料を置いて行ってくれたようです。病棟からも仕事の電話をもらうことで息子は「自分にもできることがある」と精神的に救われたようです。今は夫婦ともに職場に復帰しましたが、色々とバッシングもあるようです。病院もデイサービスも1週間休止となり、町全体に多大な損害を与えてしまいました。
息子夫婦は「コロナの抗体を有する看護師としてコロナ病棟で身を粉にして償う」と毎日頑張っています。私の気持ちは複雑です。まだまだ言いたいことはありますが、ここでは字数も限られておりますので、次回に続きを書かせていただきます。
中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[新型コロナウイルス感染症]