No.5052 (2021年02月20日発行) P.50
和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)
登録日: 2021-02-10
最終更新日: 2021-02-10
緊急事態宣言の解除が見える中で、いくつも解決されていない課題がある。今回は3つ挙げる。
都道府県、そして全国で、今後、どこまで感染者数を減らしていくのかという目標とその方法が示されていない。現在は外国人の入国も制限されているが、徐々に東京五輪・パラリンピックに向けて解除していく方向性が示されるであろう。既に国内でも変異株が、海外渡航歴のない方の間で確認されている。今後、国内でもさらに増える可能性があり、海外の事例を見ていると、これまでの対策をかなり徹底していかないと感染拡大を防げないかもしれないと筆者は恐れている。宣言が解除されれば、都道府県が主体となって対策をしていかなければならない。その計画の提示を解除の条件にしてはどうか。
飲食店は時短要請の間に、対策の強化がなされたであろうか。私の目から見ると何も変わっていない。また数カ月後には、会食を止めてくださいと要請することが十分にありえる。
飲食店といっても感染リスクは様々である。会話の少ないラーメン店などでは比較的少ない。一方で、フードコートやファストフードでは意外に会話が多く、会話中にマスクをしていないこともあることからリスクは比較的高くなるが、あまり積極的に対策がされていない。
「黙食」が話題になったが、こうした動きや個室化のような形など、もっと会食のあり方を考えないといけない。「時間を短くする」「人数を少なくする」「普段会う人とだけ」「こまめな換気」など、もう一度対策の呼びかけが必要である。
どうしたら店内の混雑を避けられるのかという観点からすると、営業時間を徐々に遅くするより、「定員を半分にする」「一つのグループは4人までとする」ことも検討が必要である。
様々な対策の効果があったのか、もう一度見直す必要がある。次は、どうすれば感染者数をピンポイントで下げられるのか。
そして、医療の逼迫をどうするのか。経済サイドからは、今後3回目の緊急事態宣言があるとしたら、今回のような医療の逼迫で音を上げることなく、それまでにもっと医療のキャパシティを増やしてほしいという声も聞こえてくる。緊急事態宣言が終わった時には皆疲れているし、話題にしたくないかもしれないが、次に備えた反省と改善は、宣言後に速やかにそれぞれの自治体や現場で行いたい。
和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]