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【識者の眼】「『ザイタク医療』⑦〜路地裏ノルキン部〜」田中章太郎

No.5078 (2021年08月21日発行) P.66

田中章太郎 (たなかホームケアクリニック院長)

登録日: 2021-08-06

最終更新日: 2021-08-06

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東京オリンピック開幕。4年に一度開催の世界的スポーツの祭典。新型コロナウイルス感染拡大があり、開催が危ぶまれた。とは言え、出場選手の一生懸命な姿を見て、やはりスポーツは素晴らしいと感じ毎日応援している。

今回はスポーツ繋がり。ノルディックウォーキング(NW)の話。

今年1月ザイタクサロン(当クリニック遺族会)メンバーの前田信道氏と、市民と医療者との交流の場として『路地裏ノルキン部』という部活動を始めた。

彼とは妻の美由紀さん(切除不能虫垂癌で闘病)の在宅看取りを担当してからのお付き合い。サロンで何度となくザイタク医療の話をしてきた。市民と医療者がコロナ禍であっても共に取り組めることはないか模索してきた。彼は、自身の健康作りと社会参加目的で、妻の闘病生活中にNWを始められた。以前はマラソン等をしていたが、看病に支障が出ないようNWに変えられた。今ではNWインストラクターの資格もお持ちだ。

NWは2本のポールを使い歩く全身運動。筋力増強、心肺機能向上、血行動態改善といった効果がある。発祥の地はフィンランドで、雪原をスキーで駆けるクロスカントリースキー選手が雪のない夏場のトレーニングの一環として始めたのが由来と言われる。歴史は20年ほど。日本では2005年頃から始まった。

『路地裏ノルキン部』は、このNWというスポーツを通して自己免疫を高め健康作りをしよう! というfacebook上での部活動だ。全国からNWをする仲間を募り、ポールをお持ちでない方には、こちらからお届けした。オンライン上で前田氏とNW講習会ライブ配信等を行いながら、全国の仲間(現在部員200名)と歩いてきた。部員各々が歩いた様子をfacebook上の『路地裏ノルキン部』ページに投稿し、お互い励まし合い健康作りに取り組んだ。メンバーは、医療介護関係者だけでなく、がんサバイバー・がん遺族、一般市民の方々で、年齢は小学生〜90代まで幅広い。

ザイタク医療は、市民と共に作り上げる医療。市民と医療者が『1日1ノル コロナに負けるな 同じ空の下』を合言葉に、共に自己免疫を高める努力をし、健康作りを行うことは非常に有意義だと思う。東京オリンピックの年に、NWというスポーツを通して『路地裏ノルキン部』活動が出来たことも感慨深い。コロナ禍においてもSNS上での活動により、ザイタク医療に取り組むことができると感じた。まだまだ頑張っていきたい。

田中章太郎(たなかホームケアクリニック院長)[在宅医療]

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