No.5086 (2021年10月16日発行) P.61
中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)
登録日: 2021-10-07
最終更新日: 2021-10-07
私は介護保険法が成立した翌年の1998年から約10年間、勤務していた公立病院で訪問看護業務に就いていました。訪問看護ステーションではなく「みなし指定」の訪問看護だったので勤務している病院の医師の指示でしか訪問できない、という規則でした。
今は訪問看護ステーションで管理者を仰せつかっているため、遠くて100km先の大学病院から指示を頂戴することもあります。そして、遠くても退院カンファレンスのお声掛けをいただくと馳せ参じるようにしています。
この数年間で様々な病院のカンファレンスに参加しましたが、共通して言えることは退院指導の不備が目立つことです。ここでこんなことを書くとお叱りを受けるかもしれませんがこれが現状です。
確かにコロナ禍で面会制限もあり、家族が介護指導や、帰宅してからも必要とされる継続ケアを習得するタイミングを逃すのも理解できます。
しかしながら受け持ち看護師もいるのでしょうから、入院時から「この方はどこから来てどこへ帰るのか」「何ができて何ができないのか」「できないことに関して、その帰り先ではどんな支援を受けることができるのか」を念頭に入れて看護していたら、退院カンファレンスの場で、地域で患者さんを支えている我々から指摘されて気付くことは起こらないのではないかと思います。
私は訪問看護に従事して間もなくNSTとして「地域一体型NSTの構築」を目標とした活動をしていたので、今も「地域栄養ケア」を強化した取り組みに尽力しています。だからこそ退院カンファレンスでは口腔機能や食形態、そして実際に食べている食事量と排便状況を必ず聞くようにしています。口腔機能といっても退院患者全員に嚥下評価までは望みません。しかしながら、義歯の有無や具合くらいは把握して欲しいと思うことが少なくないです。できていないのならできていないことを教えて欲しいのです。それを補塡していくのも訪問看護師の役割であると思っています。
中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[訪問看護][退院支援]