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【識者の眼】「コロナ第6波の前に望む政策」細井雅之

No.5087 (2021年10月23日発行) P.58

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2021-10-08

最終更新日: 2021-10-08

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前回、2021/08/14号に「大阪の悲劇を忘れないで」を書かせていただいたが、東京でも第5波による「悲劇」が起こってしまった。朝日新聞(2021/9/25)によると全国で206人(東京90人、大阪21人)が自宅や高齢者施設で亡くなった。この「自宅死」あるいは「未治療死」を防ぐために、当然、保健所、地域の医師、訪問看護の方も最大限の努力をされたにもかかわらず、第5波の勢いはすさまじく、まさに「災害級」であった。

小生は、感染症の専門家ではないが、公的病院の一勤務医として、第6波が来るまでに2つの政策を考える時と感じる。1つは、ボトルネックになっている「保健所パンク」の解決である。「保健所パンク回避探る」(朝日新聞2021/9/21)「保健所パンク終わるのか」(朝日新聞2021/10/1)と報道されているように、第4、5波においては、感染判明からファーストタッチまで数日かかるケースも出た。この中から自宅死も出た。大阪市保健所が56人体制から185人体制に増やしても、感染者は10倍以上増えているので物理的に対応不可能である。保健師さんの超過勤務が月200時間となっており、逆に過労死が懸念される。本誌2021/5/22に池尻真康先生が、2021/9/11に小倉和也先生が提案されているように、保健所と医療現場の速やかな情報共有が必要である。まず保健所が動く、という体制を変えて、まず、地区医療機関に輪番制でファーストタッチをしてもらう。ここは、東京都医師会「品川モデル」のようにオンライン診療でも良いかと思う。

もう1つは、原点である感染対策である。尾身茂分科会会長も今年8月17日の記者会見で「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にする新たな法的な仕組みの構築も必要ではないか」と発言されているように、法制度の議論も必要と感じる。「ロックダウン」といった、「町全体の封じ込め」は必ずしも必要はない。感染の原因は飛沫感染であるので、「飛沫を封じ込め」すればよい。そのためには、マスク着用、店出入り時の手指アルコール消毒、黙食、といった具体的な行動の推進を自治体レベルで条例を制定するような議論も必要ではないか。憲法第12条「公共の福祉」にそった形で科学的に必要不可欠かつ必要最小限の規制を議論してもいいかと思う。先日、「エスカレーターでは立ち止まって」という埼玉県条例も施行されている。公共の福祉のための条例の議論も必要と思う。

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)[新型コロナウイルス感染症]

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