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【識者の眼】「都市部の重点措置が延長される中で」和田耕治

No.5107 (2022年03月12日発行) P.56

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2022-03-03

最終更新日: 2022-03-03

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まん延防止等重点措置が都市部を中心に延長されようとしている。医療逼迫の現状、そして今後国内においてもオミクロン株BA.2の拡大も予測されており、高齢者のブースターワクチンにはもう少し時間がかかる、という状況においての判断であろう。ただ、どうなったら重点措置を解除するのか、という目安があいまいであり、長期化しないようにするための議論が必要である。

一番避けたいのは、市民や事業者の納得が得られなくなり、重点措置が出ているのに守られないということである。それにより、重点措置という法的な措置の価値が下がり、今後の運用にも影響が出る。何よりも市民や事業者の間で不信感であったり、不公平感が出たりということも危惧される。

重点措置の期間を今後の事業再開に向けた準備のために有効に使えたのか。これは以前からの課題である。飲食の場面やリスクが高いと考えられる場所での再開に向けた準備や取り組みが、地域や市などのレベルで推進されているかというと、そうした事例はまだ少ないようだ。筆者は、ある市役所と連携して、地元の飲食店などとの議論をさせていただいた。飲食店においては、アルバイトの方の募集も困難になっており、また、今後が見えないということでの不安もあり、厳しい状況が続いている。飲食店同士の間をつなぐ場面というのは意外に少ない。ぜひとも市のレベルでの場づくり、そして感染対策の支援をお願いしたい。お客さんとなる市民の協力も不可欠である。

感染者の数は、諸外国の状況や昨年の状況などをみると、第6波を超える人数がこの春に出る可能性を想定しておかなければならない。ただ、ワクチン接種が進めば、医療逼迫は一時的には改善することは期待される。これも、中期的にどのくらい続くかはわからない。

今年は桜の下で、家族だけやいつも一緒の仲間だけで少人数でも、ゴザを敷いてお弁当を食べる(飲酒は難しいかもしれないが)ということができるようにならないか、と考えている。ルールを決めることが今こそ必要である。そうしないと、昨年同様に、「立ち止まらずに歩いて桜を見てください」といったことになりかねない。

重点措置として何を市民に求めるのかは知事が決められることになっている。今まで以上に、都道府県の単位で市民への呼びかけや説明を丁寧にしていくことが求められている。

※2022年3月3日に執筆しました。

YouTube(https://www.youtube.com/channel/UC22XqBx8Y8VrNlc2zzB2M-w)にて毎週行われる厚労省アドバイザリーボードの資料のハイライトを15分程度で解説を行っております。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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