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【識者の眼】「医師の働き方改革において、『手段』と『目的』の確認を」和田耕治

No.5125 (2022年07月16日発行) P.65

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2022-07-05

最終更新日: 2022-07-05

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医師の働き方改革が2024年4月から始まろうとしている。筆者はこれまで働く人の健康を守る産業保健の観点から医療従事者の就業環境改善に努めてきた1)。今後の具体的な活動の議論や整備をする中で「手段」と「目的」がきちんと認識されているか、心配になることがある。

働き方改革は、国全体の動きであり、厚生労働省のサイトでは、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指している」とある。もちろん、過労死を起こさないようにすることもある。

医師の場合、労働時間の管理、副業の時間の把握、医療機関としてどのような働き方を医師に求めるのかなどを検討するために、特別に5年間の猶予があった。医療機関でも医師以外の職種については、既に働き方改革が実行されているはずである。

また、これまでも労働安全衛生法の下で、医師を含めたすべての職員の健康を守る取組も行われているはずである。筆者らは、医療機能評価機構の病院機能評価に認定されている関東地方の医療機関を対象に3年ごとぐらいに調査を行っている2)。回答をいただいた医療機関では産業医の選任は100%であったが、多くは診療業務との兼任である。衛生委員会や職場巡視となると定期的に行えていない医療機関もある。また、産業医を支える産業看護職の選任も36%でしかなされていない。改めて医療機関の産業保健体制の見直しと活動の強化を行うことも必要である。イメージとして、産業保健活動を1階として、働き方改革は2階部分にすることで継続が可能な体制づくりになると筆者は考えている。

医師の働き方改革に向けて、方針の作成、就業規則や36協定の確認など、診療科によっても特殊性がある中でどのように取り組むか。業務の洗い出しと整理、そして、長時間労働となった医師の面接ができる体制など取り組むべき事項が多数あるのは事実である。しかし、これは、あくまで手段であって、目的でないことを忘れてはならない。

目的は先の厚労省の示しているものと同じである必要はない。それぞれの医療機関での働き方を考える良い機会として、医師の働き方改革の手段と目的について検討も含めて行ってはどうだろうか。

【文献】

1)和田耕治, 編著:医療機関における産業保健活動ハンドブック. 産業医学振興財団, 2019.

2)小川真規, 他:産衛誌. 2022;64(1):32-41.

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[産業保健活動]

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