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【識者の眼】「敗血症とPICSの予防や対策」川村雄介

No.5128 (2022年08月06日発行) P.63

川村雄介 (公立昭和病院リハビリテーション科主任・理学療法士)

登録日: 2022-07-08

最終更新日: 2022-07-08

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集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)は、重症病態後に身体・精神・認知機能障害が、新規に出現もしくは病前の状態より悪化を認め、その後も持続する状態である。わが国ではICU入室後6カ月の時点でのPICS発症頻度は63.5%と報告があり1)、PICSの解決は喫緊の課題である2)。一方、重症病態である敗血症の長期予後は不良であり3)、普段から運動習慣がなく身体活動が少ない生活は、敗血症の発生率が高く、それによる死亡のリスクも高いことが報告されている4)〜6)

疾病予防の視点から、医療従事者は、急性期・回復期・生活期のどの時期においても敗血症とPICSの予防や対策に取り組むべきである(図 )。特に理学療法士は、すべての時期のリハビリテーションに熟知しており、PICS対策に貢献できると考える。そこで急性期のみならず、回復期や生活期で働く医療従事者や一般市民に敗血症とPICSの予防や対策についての周知が必要である。日本敗血症連盟(Japan Sepsis Alliance:JaSA)は、「敗血症.com」からの情報発信、世界敗血症デーに合わせた市民公開イベントや敗血症セミナーなどの開催を通して啓蒙活動を行っている。

長期予後の改善のために、時期に応じた敗血症の予防やPICS対策に取り組むことが肝要である。

【文献】

1)Kawakami D, et al:Crit Care. 2021;25(1):69.

2)井上茂亮:医事新報. 2021;5089:55.

3)Yende S, et al:Crit Care Med. 2016;44(8):1461-7.

4)Williams PT:PLoS One. 2013;8(12):e79344.

5)Wang HE, et al:Prev Med. 2014;65:58-64.

6)Mahalingam M, et al:J Intensive Care Med. 2019;34(4):292-300.

川村雄介(公立昭和病院リハビリテーション科主任・理学療法士)[敗血症の最新トピックス

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