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【識者の眼】「間違いだらけの少子化対策」邉見公雄

No.5156 (2023年02月18日発行) P.64

邉見公雄 (全国公私病院連盟会長)

登録日: 2023-02-01

最終更新日: 2023-02-01

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わが国は毎年“ひのえうま”状態である。年間の出生数が80万人を割り、さらにコロナパンデミックの追い打ちで少子化人口減が加速している。少子化担当大臣は現在の小倉將信氏が25代。職名は違うものの第3次小泉内閣の猪口邦子氏や第1次安倍内閣の高市早苗氏を加えると27代にもなり成果が上がらなったことを物語っている。

福島瑞穂氏や蓮舫氏、野田聖子氏など女性が12人任命され、男女共同参画や他の国務大臣との併任の特命大臣。我が国最大の喫緊課題であり、本来ここは専任にすべきで、財務大臣や外務大臣より大物の副総理格を据えるべきであろう。女性だからとお飾り的な人気取りの時代はとっくに終わっているのである。これ以上出生数の減少に歯止めがかからないのなら、サッカーのクラマーやオシム、トルシエ、ラグビーのエディ・ジョーンズやマイケル・リーチなどの指導者が、弱かった競技を国際標準に引っ張り上げたように、北欧から大臣を呼んだらどうか? 失われた30年を引き摺り続けるのなら首相もレンタル? これは暴論であろうがお飾りの少子化担当大臣なら大化けに賭けるのも一考の価値はあろう。

医療費や教育の無償化は無効とは思わないが抜本的解決策には程遠い。性生活や子育ての楽しさを教育現場に医師を派遣して教えては、と愚考する。泌尿器科医や産婦人科医、小児科医に一役買ってもらうのである。もう一つは、東京都が“少子化推進”本部であることをメディアは平成の統一教会問題を伏せていたのと同様に国民に知らせない。都の合計特殊出生率が1.08とダントツ最下位というのにである。さすがに小池百合子知事は政治勘、嗅覚が鋭く第2子の保育料無料化など国より先に手を打った。

政・官・財・法・報・教・交・皇の8密を分散せず、少子化の都へ女性を集め続ければ少子化は止まらないのであろう。非正規などでは家賃の高い都心には住めず、平均100分近い通勤や通学で疲れて恋愛やセックス、子育てに時間も気力体力も残らず、どう考えても無理。出生率の高い沖縄とは真逆の環境であり、ここは全てのことに先駆けて分都を考える時である。幸福度ランキング世界58位、高課税国ランキング2位、年金システム31位、これでは人口増加率194位でもむべなるかなではあるが、報道の自由度71位のメディアに是非とも頑張っていただきたい。これが私の今年の初夢である。“令和の改新”(参考文献:邉見公雄著、幻冬舎出版)を是非ともやってほしいものである。

邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[少子化]

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