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老老介護・認認介護

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-13
和田忠志 (いらはら診療所在宅医療部長)
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  • ■考え方

    老老介護・認認介護世帯は,介護力に恵まれない点において,健康な介護者がいる場合より在宅療養に困難が多い。しかし,独居老人世帯に比べれば有利な点が多い。互いが助け合って補完的に介護できるからである。また,介護保険のサービスなどは,2人合わせるとかなりの量のサービスを世帯に導入できる。

    わが国は核家族化により複数世代が同居する大家族はほとんど存在しなくなり,子どもが独立した後は夫婦のみで過ごす世帯が多い。長期生存する高齢者が多いことから,夫婦2人が生存し,ADL(activities of daily living)が低下しても,ともに生活する例が多い。この他,老老介護世帯には,きょうだいが暮らす例,超高齢の親と70歳代などの子が同居する例などがある。いずれの場合も,老老介護・認認介護世帯は,圧倒的多数が2人世帯である。そこで,ここでは2人世帯を想定して述べる。

    ■制度面の知識

    特段のものはない。医療保険による在宅医療等,介護保険制度,障害福祉制度,年金保険制度,生活保護制度を基本とし,認知症の場合には成年後見制度を必要に応じて利用する。事例によっては長期生活支援資金貸付制度などを組み合わせる。

    ■社会資源の活用

    老老介護・認認介護世帯支援で特筆すべきは,介護保険や障害福祉制度が"個人給付"であるため,2人合わせると世帯で多額の給付を得られることである。たとえば,夫婦ともに要介護4であれば,2人合わせて1カ月あたり60万円を超える介護保険支給限度基準額を世帯内で使用できる。要介護4・5の場合,障害者自立支援法によるサービスも加えて受けられるため,世帯あたりで使用可能なサービスの限度枠はより大きくなりうる。そして,同居家族のどちらかがパーキンソン病などの神経難病等である場合,訪問看護や訪問リハビリテーションが医療保険で使用できるため,さらに利用サービスの枠が大きくなりうる。褥瘡などがある場合に特別訪問看護指示書を発行すると,同様の効果が期待できる。

    この意味で,独居世帯と異なり,老老介護世帯では自己負担額さえ払えれば(あるいは生活保護受給世帯であれば),潤沢な公的サービスが使用できる。

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