精神疾患を抱える患者さんの終末期医療において,本人の意思とご家族の希望が対立することは少なくありません。特に,認知機能や判断能力に影響を及ぼす病気を持つ患者さんの場合,医療者はどのように意思決定支援を進めるべきか,難しい判断をせまられます。今回は,統合失調症と慢性腎不全を患う高齢女性のケースを通して,精神疾患患者の終末期医療において,患者さん本人の意思とご家族の希望のどちらを優先すべきかを考えます。
精神疾患の患者さんは病気のせいで言動が不安定なことがあるため,急変時の対応ではご家族に判断を求めがちです。患者さんとご家族の意思が同じなら問題ないのですが,異なる場合,私たちはどう対応したらよいのでしょうか?