36.1%の世帯が医療費・介護費の負担を重いと感じている―。国立社会保障・人口問題研究所が10日に公表した「生活と支え合いに関する調査」の結果の概要で、こうした実態が明らかになった。
調査は5年ごとに実施。今回調査は昨年7月、厚生労働省の「2017年国民生活基礎調査」で設定された全国の調査地区から無作為抽出した300地区に居住する世帯主と18歳以上の世帯員を対象に実施した。有効票数は、世帯票1万369(有効回収率63.5%)、個人票1万9800(同75.0%)。
調査結果によると、「医療費・介護費の負担」が「とても重い」「やや重い」と答えた世帯の割合は、36.1%に上った。特に、ひとり親世帯(三世代)では53.9%、高齢者のみの世帯では52.0%を占めた。一方、単独非高齢世帯では男性18.9%、女性27.4%と比較的低かった。
生活の状況を9つに分類し、この中から金銭的理由でできない項目を聞いたところ、「必要なときに医者にかかること」と回答したのは、全体の世帯の2.3%、「風邪薬・鎮痛剤・塗り薬などの市販の薬を買うこと」を挙げたのは2.1%だった。
また、過去1年間のうち医療機関で受診や治療が必要と思われる病気やけがをしたと回答したのは47.4%(9389人)だった。そのうち、7.1%(662人)は受診や治療をしなかったことがあるという。その理由として最も多かったのは「仕事など多忙で時間がなかった」(64.8%)。「お金が払えなかった」は19.9%、「近くに病院・診療所がなかった」は9.2%だった。
過去1年間の健康診断の未受診経験については、仕事をしている者の未受診率は低く、全体で約2割にとどまった。一方、仕事をしていない者では高く、特に65歳未満の仕事を探している者では58.1%に上った。仕事を探していない者では45.0%だった。65歳以上の仕事をしていない者については、仕事を探しているか否かに関わらず、約4割で未受診だった。