中央社会保険医療協議会は7月23日の総会で、入院医療を巡る初回の議論を行い、診療側・支払側委員が意見を出し合った。診療側は病院経営がこれまでにないほどの危機的状況にあると説明。医療機関の機能分化・連携を一層推進していく重要性は認めつつも、前提として病院経営の安定化が必要不可欠とし、入院基本料等の引上げや人員配置基準の緩和などを求めた。
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、病院経営悪化の原因について「公定価格である診療報酬が時代にそぐわず大変低く設定されてきたことにある」と指摘。「次期改定は病院、有床診療所の経営を立て直し支える改定とすることが不可欠であり、強く要望したい」と訴えた。池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も、「機能分化や連携の議論は重要だが、その前に医療機関がつぶれてしまうわけにはいかない。基本料をしっかりつける、人員の基準をある程度緩和する、この2つしか即効性のある対応はないと思う」と述べ、抜本的な見直しを求めた。
これに対し支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、入院基本料等について、「病床機能と医療機関機能を組み合わせて診療報酬でどのように評価できるのか、体系的な建て付けの整理が必要」などと述べ、新たな地域医療構想を踏まえた評価体系の見直しを提案した。
各論で診療側は、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」について、内科疾患は外科疾患よりも得点が低くなる傾向にあり、該当患者割合を満たすのが難しい現状を問題視。看護必要度は、地域包括医療病棟などの包括機能を担う病棟の施設基準にも含まれるため、池端委員は高齢者を支える内科系病院で医療の提供が困難になる恐れがあると危惧し、対応策の検討を求めた。
一方、支払側の松本委員は、「急性期一般2〜6」などの10対1急性期病棟について、「どのような機能を果たすのか次期改定に向けた入院料区分の再編も含めてぜひ議論させていただきたい」と要望した。