診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は6月26日、入退院支援のあり方を巡り議論した。この中で厚生労働省は「入退院支援加算」を算定した患者の分析結果などを踏まえ、入院料や患者像によって実施されている入退院支援の内容が異なる可能性を指摘した。
入退院支援に関する診療報酬上の評価には、退院困難な要因がある患者に対して入院早期から入退院支援を行なった場合に算定する「入退院支援加算」や、予定入院患者に対して入院前の外来で入院中の治療の説明や服薬中の薬の確認などを行った場合に算定する「入院時支援加算」などがある。
このうち「入退院支援加算1、2」の算定対象患者となる「退院困難な要因」は、緊急入院や悪性腫瘍の場合などの算定要件が定められている。当該加算の算定患者を分析した厚労省データによると、患者の退院困難な要因は入院病棟によって異なり、急性期病棟は緊急入院が最多であったが、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟は緊急入院とともに、「入院前に比べてADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推察されること)」が多い傾向がみられた。
一方、「入院時支援加算」については届出有無と平均在院日数の関係を分析。その結果、「急性期一般入院基本料」、「地域包括ケア病棟入院料」、「回復期リハビリテーション病棟入院料」、「療養病棟入院基本料」のいずれの入院料おいても、加算届出施設が非届出施設に比べ平均在院日数が短いことが明らかになった。
中野惠委員(健康保険組合連合会参与)は「入退院支援加算」の算定患者の分析結果について、「患者像や病棟によって支援の内容が異なるという視点から入退院支援のあり方を考える際の検討材料になる」と述べ、実際に行われている支援の内容を確認できるような追加データの提出を求めた。牧野憲一委員(旭川赤十字病院・特別顧問・名誉院長)は「入院時支援加算」について「緊急入院には類する評価がない」とし、今後高齢者の緊急入院の増加が見込まれることや緊急入院における平均在院日数の短縮化を図る観点からも、「緊急入院患者の退院支援を強化できる対応が必要ではないか」と提案した。