新年明けましておめでとうございます。今年も町医者の立場から発信しますのでよろしくお願い申し上げます。介護認定審査会の委員を拝命して10年以上が経過した。しかし、まだまだよく分からないことだらけだ。ということで今回、多くの医師が関わっている介護認定審査に関する私見を書いてみたい。
2000年の介護保険制度の誕生とともに「ケアマネジャー」という資格と「介護認定」という作業が生じた。当初、介護認定に医師が関わるべきかという議論があったと聞く。しかし地域包括ケアをはじめ、医療と介護の連携の重要性が叫ばれる昨今から振り返ってみると介護保険にも医師が深く関わっていて本当に良かったと思う。たとえば医師が介護保険サービスのモラルハザードの防止役になることができた。何よりも様々な主治医意見書を読み5人の委員の間で議論することで、在宅医療や総合診療の現場にフィードバックができる。医療における患者を介護では利用者と呼ぶように、医療と介護ではかなり言語が異なる。ケアマネジャーとの連携やケア会議の席で医師が介護保険サービスに関する意見を述べる時などには、介護認定審査での経験が役に立っている。介護保険制度の詳細は分からなくてもおおよその仕組みが分かることに大きな意味がある。
地域包括ケアが謳われる中、今年は全国各地で医介連携の動きがさらに盛んになるだろう。地元尼崎市では一昨年から医師会とケアマネ協会が交互に主催して「名刺交換会」という顔の見える関係作りの場がつくられた。難しい話はひとまず横に置いておいて、とりあえずお互いの顔と名前を覚えることから医介連携は始まる。懇親会でかつての審査会メンバーと再会すると話が弾み、顔の見える関係から腹の見える連携へと発展する。こうした医介連携の第一歩は各自治体における介護認定審査会かもしれない。