ほか編: | 武藤芳照(東京大学大学院身体教育学講座教授) |
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ほか編: | 田島 寶(老人保健施設サンライズ大浜施設長) |
ほか編: | 山田 均(高岡市民病院医療局長) |
判型: | B5判 |
頁数: | 224頁 |
装丁: | 単色 |
発行日: | 2005年02月25日 |
ISBN: | 4-7849-7270-6 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
■連日の介護動作(挙上動作、移乗動作、食事・更衣・排泄・清潔・入浴等)から生じる健康障害は、よい看護を阻む壁となります。その中で発生頻度の高い腰痛に焦点を当て、実態の解明と、具体的な予防対策のマニュアルともいえる書籍を作りました。
■365点以上のイラスト・表・写真を駆使して、介護現場における腰を守る介護姿勢・環境整備の解説をし、腰痛予防の運動を示しています。
診療科: | 整形外科 | 整形外科 |
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リハビリテーション科 | リハビリテーション科 | |
医政・医療 | 介護・福祉 |
1章 現代社会と介護
1.介護とは
2.障害児の介護の実態と問題点
3.高齢者の介護の実態と問題点
4.介護者の職業病としての腰痛
第2章 介護者の腰痛の実態と特徴
1.職業性腰痛に関する実態
2.職業性腰痛の実態調査からみた考察
第3章 介護動作の特徴と方法
1.介護動作の基本原則
2.寝返り介助
3.起き上がり介助
4.立ち上がり介助
5.移乗介助
6.排泄の介助
7.衣服の着脱介助
8.身体の清潔行動の介助
9.入浴動作の介助
10. 食事動作の介助
11. 疾患・障害の種類に応じた注意と工夫
12. その他
第4章 介護者の腰痛予防プログラム
■ 介護者への対応
1.生活習慣の改善
2.姿勢・動作の改善
3.自分のからだを知る
4.ストレッチング
5.筋力増強運動
6.水中運動
7.その他
8.履物の工夫
■ 介護動作・技術への対応
1 介護動作・技術のチェックポイント
2 介護動作・技術の改善・工夫
■介護環境への対応
1 一般家屋の設備の構造改良
2 介護施設内の構造改良
■ 介護業務体制への対応
1 業務管理の工夫・改善
2 腰痛予防教育の徹底
第5章 介護者にみられる腰痛の診断と治療
1.腰痛の原因
2.腰痛の診断
3.腰痛の治療
4.腰痛のリハビリテーション
第6章 介護者の腰痛予防の教育
1.ヒトと腰痛
2.介護動作と腰痛
資料1.介護動作に伴う腰痛についてのアンケート
資料2.報告書
資料3.腰痛予防パンフレット
資料4.水中運動・水泳
索引
超高齢社会を間近に控え、高齢者の介護問題は国家重要施策の一つに組み入れられるようになった。介護保険制度の導入後、その問題は解決の方向に進むかにみえたが、短期間のうちに見直しを迫られる事態が生まれている。
そして、「介護予防10カ年戦略」の発足に象徴されるように、今後は介護予防がキーワードとなる。介護予防とは、単に要介護や介護保険の対象者となることを予防するという意味ではなく、一人ひとりの高齢者が健康で幸福で自己実現ができる「健やかで実りある人生」を創り出すことを目標としている。予防に勝る治療はない。科学的基盤をもち、現実的で有効な介護予防システムの構築が急務となりつつある。
介護予防は、介護される側の視点にたった概念であり、施策である。一方、介護する側への視点や介護する側への対応は、ほとんど欠落していると言っても過言ではない状況が続いている。
たとえば、85歳以上の超高齢者にあたる親の介護を、65歳を超えた高齢者が行い続けているという事例(“老々介護”)は、今や決して珍しくない。その介護者自身が何らかの疾病や障害、痛みを抱えているのはごく普通であろう。仮に介護者が若く専門的な職業人としても、連日の介護業務を確実に、しかもやさしく行い続けるのは容易なことではない。また、挙上動作、移乗動作、入浴介助等の介護業務に関する動作に起因して、健康障害をきたしている例は少なくない。今や介護される側の対応とあわせて、介護する側への対応がきわめて重要な時期となっている。
介護者の健康管理は、介護サービスの質的向上と量的拡大と密接な関係を有している。中でも介護者の腰痛は、発生頻度も高く、非常に深刻な問題をはらんでいる。にもかかわらず、その実態の解明と予防対策の確立が十分になされていないため、介護現場の未解決の大きな問題として残されてきた。
そうした背景と観点から、平成12(2000)年度、平成13(2001)年度の2カ年にわたり、(財)社会福祉医療事業団(現・独立行政法人福祉医療機構)/長寿社会福祉基金よりの委託により、(財)骨粗鬆症財団の「介護職員の健康管理ー職業性腰痛に関する調査研究とその対策研究事業」の調査研究事業を実施した。武藤委員長の下、計13名の委員により、その調査研究報告書をまとめ上げる作業の中で、これらの事業成果を基礎に、介護現場の健康障害を低減し、より良い・より質の高い介護を実現するために役立つ単行本を作成することが合意された。
このような経緯から、高齢者にとどまらず、障害児への視座も含め、広く介護者の腰痛予防の実践書として企画・構成・編集を行った。当初の予定よりも発刊に時間を要したが、その分、重要なことをわかりやすく伝えるためのイラスト、図・表、写真等の工夫をこらすことができたと考えている。
本書を発刊させるにあたって、介護現場を再現する膨大なイラストを描き上げていただいた きもとよしこ氏には、大変な苦労をおかけした。厚く御礼申し上げたい。
本書が、わが国の保健・医療・福祉の領域における政策、研究にいささかなりとも貢献するとともに、介護現場の改善に役立てば幸いである。