厚生科学審議会の「医薬品医療機器制度部会」は昨年12月25日に「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」を公表した。地域包括ケアシステムの構築が進む中、薬剤師・薬局が医師・医療機関等との情報共有や連携を深めることを求めている。例えば、服薬状況等に関する情報を医師へ適切な頻度で提供するよう努めるべきだと明確に指摘している。同日に公表した「医薬分業に関するとりまとめ」では、在宅医療の需要の増加が見込まれる中で、薬物療法の提供が大きな課題であるとし、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を重要視している。
なお厚生労働省は薬機法改正案を今国会に提出するという。今回は、在宅医療も行う町医者から見た医薬連携の現状と未来について論じてみたい。
町医者として薬剤師との連携については問題山積であると日々感じている。個人的にはジェネリック医薬品の問題とポリファーマシーの問題が喫緊の課題であると考える。現在、経済的理由から生活保護受給者への投薬はジェネリック医薬品に限られている。もし違反すると個別指導になると言われるが、先発品でないと効果を実感できないと言い張る患者さんもいる。困り果てた薬剤師から相談されるが、現場ではとても厄介な問題だ。現在の調剤薬局はどこも先発品と後発品の2種類の在庫を抱えなければならず、調剤スペースやデッドストックに悩んでいる。
5年前、終末期医療の講演で台湾を訪問した時、診療所の外来や在宅医療を見学する機会を得た。台湾の診察券は銀行のキャッシュカードのようなもので、診療所の受付でリーダーに入れると保険者番号と同時にお薬手帳の内容が画面に表示された。医療情報が無くても、投薬情報があればおおよその医療情報は想像できる。薬歴情報がカードに一元化されると多重受診や多重投薬、併用禁忌のチェックが容易である。またポリファーマシーの状況が国家レベルでも把握できるので、減薬への道筋が見通せる。
一方、日本ではお薬手帳を何冊も持っている患者さんがいる。薬局は新たに発行するたびに報酬を得られるからか、1冊への統合は決して容易ではない。医師や薬剤師がいくら「かかりつけ薬局」や「かかりつけ薬剤師」を啓発してもいかんせん強制力がないので市民には定着していない。