No.5271 (2025年05月03日発行) P.56
二木 立 (日本福祉大学名誉教授)
登録日: 2025-05-01
最終更新日: 2025-04-30
本稿は、2025年2月25日に自由民主党・公明党と日本維新の会が結んだ「合意」(以下、三党合意)に含まれる、日本維新の会の「国民医療費の総額を年間最低限4兆円削減する」主張を検討します。私は、それがそのまま実現する可能性は全くないが、その主張がテコになって、従来以上に、公的医療費(医療給付費)が抑制される危険性が高いと判断しています。
三党合意は日本維新の会が2025年度予算案に賛成し、年度内に成立させる条件として急遽結ばれ、以下の4項目から構成されています。Ⅰ 教育無償化、Ⅱ 現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減、Ⅲ 働き控えの解消、Ⅳ 教育無償化に関する論点等。Ⅱの冒頭では、以下の4つの改革が示されています。「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」「現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底」「医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現」「医療介護産業の成長産業化」。