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日医総研「日本の医療のグランドデザイン2030」をどう読むか?[深層を読む・真相を解く(86)]

No.4962 (2019年06月01日発行) P.54

二木 立 (日本福祉大学名誉教授)

登録日: 2019-05-29

最終更新日: 2019-05-28

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横倉義武日本医師会総合研究機構(日医総研)所長・日本医師会会長は、3月27日、『日本の医療のグランドデザイン2030』(以下、『GD2030』)を発表しました。『GD』は2000年に最初に発表され、以後、2003年、2007年、2009年に改定され、今回は10年ぶりの改定です。従来はいずれも100頁前後でしたが、今回はその4倍の404頁の大作で、内容もきわめて多岐にわたっており、日本医師会版の医学・医療百科事典とも言えます。

本稿では、まずそれの構成と概略を、過去の『GD』や最近の政府の医療・社会保障改革関連文書との異同にも触れながら、述べます。次に、私が医療関係者必読と思う記述を紹介します。最後に、一部の記述・提言についての私の率直な疑問を書きます。

構成と概略

『GD2030』は、横倉所長の序文、第1部「あるべき医療の姿」、第2部「日本の医療 現状と検証」の構成です。多くは、日医総研研究員が無署名で執筆していますが、一部は権丈善一氏等、高名な研究者が署名入りで執筆しています。

過去の『GD』はすべて日本医師会発行で、内容のすべてが日本医師会の公式見解とされていました。しかし、『GD2030』は日医総研発行で、しかも横倉日医会長は、日医総研所長名の序文で、以下のように抑制的に書いています。

「テーマについての論述は、担当する研究員がそれぞれの考察に基づき自由に素材を提供した。その素材を基に編集責任者が編集を行った。ここではテーマごとの方向性を統一することを企図してはいない」。これは、現在の日本医師会が研究者の意見の自由や多様性を尊重し、日医総研の開かれた運営をしていることの現れであり、好ましいと思います。

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