中央社会保険医療協議会は7月16日に総会を開き、2026年度次期診療報酬改定に向けた個別事項について、一巡目の議論を開始した。初回のテーマの外来医療では、かかりつけ医機能報告を踏まえた診療報酬上の評価が論点の一つとなったが、診療側はかかりつけ医認定制を巡る議論に発展し、フリーアクセスの制限につながると危惧。かかりつけ医機能報告と診療報酬上の評価は、切り離して考えるべきと主張した。
厚生労働省はこの日の総会に外来医療の論点として提示したのは、①かかりつけ医機能報告制度を踏まえた外来における診療報酬上の評価のあり方、②生活習慣病対策のさらなる推進、③特定機能病院等における逆紹介のさらなる推進、④オンライン診療の適切な推進など。
このうち、かかりつけ医機能関連の主な報酬には、体制整備を評価する「機能強化加算」や「時間外対応加算」、診療行為を評価する「地域包括診療料・加算」などがある。厚労省は、これらの報酬とかかりつけ医機能報告の報告項目を対比した資料で、かかりつけ医機能報告の1号機能(日常的な診療の総合的・継続的実施)の一次診療の対応状況が「機能強化加算」をはじめとする既存報酬の要件に含まれていないことなどを示した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)はこの点を問題視し、「1号機能はかかりつけ医機能の出発点となる重要なポイントであり、これをどう適切に評価するかという視点で体制整備の評価を大きく見直す議論が必要不可欠だ」と主張。一方、診療側の江澤和彦(日本医師会常任理事)は、「かかりつけ医の認定を後押しするような観点からの議論は、かかりつけ医機能報告の趣旨に全く反する。診療報酬上の評価と結びつけて議論するべきではない」と異議を唱えた。
また、診療側はオンライン診療について、時間距離要件(患者宅との距離が概ね30分以内)と上限規制(実施割合1割以下)が廃止された22年度改定以降、不適切事例が増加していると指摘。長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「対面診療を原則とするのであれば時間距離要件は非常に有効だった。対面診療がきちんとできるという意味で、果たして9割以上がオンライン診療の医療機関は大丈夫なのか。この点は再考すべきではないか」と述べた。