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【識者の眼】「地域の保健室が沢山できてほしい」中村悦子

No.4998 (2020年02月08日発行) P.59

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者・看護師)

登録日: 2020-02-08

最終更新日: 2020-02-04

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厚生労働省は2018年11月30日に、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」と発表しました。そして、1年後の昨年11月30日にこの人生会議の普及のためのPRポスターが炎上しました。

「いい看取り」の日に決まったネーミングとポスター。今さらですが、この人生会議に参加するのは誰なのでしょうか。ポスターには患者さんしかいませんが、誰に訴えかけているのでしょうか。

私は、2015年4月、31年間務めた地元の公立病院を退職し、食支援に力を入れた常設型共生型居場所「みんなの保健室わじま」をショッピングセンターの中に開室しました。

2019年4月、社会福祉法人弘和会の一員となり、現在の場所に移転しましたが、ショッピングセンターにいた時のように、病院で学び、実践していた在宅医療とNSTの知識を地域に還元して住民の困り感を解決できる担い手になりたいと奮闘しています。

当然のことながら私では解決できないこともあるので、場合によってはアドバイスを頂戴できそうな方にお繋ぎする「ハブ的な役割」も果たしています。

年齢や病気や障害を問わず、悩んでいる専門職も、プロボノ精神をもった専門職も参加して、労をねぎらい、敬意を表し、今何に困っているのか、そして、これからどう過ごしたいかを語りあい、生活習慣の過ちを軌道修正しながら、一話完結で終わらずに、継続的に各々の意思決定を支援する空間として保健室の果たす役割は大きいと考えます。

秋山正子さん(白十字訪問看護ステーション統括所長)が中心となって活動されている「暮らしの保健室」、日本看護協会が提唱している「まちの保健室」などの地域の保健室は年々増えています。開室した地域の風土等で多少の違いはあっても、地域の保健室では「様々な人生会議」が開かれていると思います。

時々、保健室を立ち上げたい専門職や、保健室を作りたい組織の方が見学に来られます。そんな皆さんの気持ちが一つになって、保健室が沢山できたらいいなと思います。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者・看護師)[人生会議][みんなの保健室わじま]

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